あ | ナノ

孤独な男に愛された少年。

ある日何処ぞの人形師が作ったかもわからぬ少年の人形が
薄汚れた街の小さな抜け道に捨てられていた。

帰宅を急いだ男はその抜け道で人形を見て不気味だと思いつつ
その人形から目が離すことができず家に持ち帰ったのだ。

それから一ヶ月だ、とある狂気的事件が起き出したのは。

色白のまだ発育が途中な女性の性器が抜き取られ、その跡が縫われている。
そして腹は臓器が抜かれ、代わりに大量の綿が詰めた状態でまた縫われているのだ。

男の家では薄汚れた身体は見る影もなくし、美しい色白の少年は綺麗な服に身を包み
その少年はその小さな身体で子供を身籠っていたのだ。

腸をノックしたうさぎ。

いつも食後はお腹が痛くなるんだ。

キリキリと胃が軋むような痛みを訴えはじめたかと思ったら
トントンとドアをノックするような感覚を覚えはじめて
左の肺近くの心ノ臓なるものがそれにつられて
少しずつ…少しずつ早くなっていくんだ
まるで誰かに追いかけられるように。
そしたら喉元や口を行き来する空気が早くなって
目の前がチカチカと警報灯を見ているように瞬いて
僕の意識は何処かへ出掛けてしまうんだ。

だけど意識が出掛ける前に必ず眼にするのが、お腹のないうさぎの足なんだ。

なんだか笑っちゃうだろう？