忌ま忌ましくて愛しい人 | ナノ




※復讐、殺し、キャラ死など
苦手な方はバックプリーズ!







ある日唐突に、父親と母親の敵の名前を知らされた。16歳の時である。
それまで両親の死は事故としか知らされていなくまた私もそうなんだと信じこんでいた、が、両親の死には不思議な点は幾つもあった。一つはまだ5歳だった私を置いて二人でマンションの屋上に行った事。そしてもう一つは都合よく二人揃って足を滑らせ転落したという事。まだ幼かった私でさえも変だなと思った点を、警察は証拠も見つけられず「事故」という一言だけで切り捨て捜査を打ち切った。まだ期間は残っていたのに!
そんな時に聞かされた両親の敵。成る程、両親は殺されたのか。それなら話の筋が通ってくる。冷静な頭の中と反して私の体の中でメラメラと熱く燃え始める復讐の炎。私はお父さんとお母さんともっともっと幸せに生きていたかった――なのになのになのに!こいつらのせいで二人は死んだこいつらが殺した二人は殺されたなんでお父さんとお母さんは死ななきゃならなかった?二人は死んだのになぜこいつらはのうのうと生きている?お父さんお母さんどうしようこいつらがどうしようもなく憎い憎いニクイ憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎いっ!!
この日から、私の復讐計画は始まった。二人を殺し今も生き続けている忌ま忌ましい犯罪者に鉄槌を。そして終わったら私も一緒に死ぬ――この言葉を私の心に刻み付け、一生忘れぬと誓った。
復讐をすると決めたからには、私の中にある楽しい事や嬉しい事、そして美しい思い出なんかも全て棄ててしまう必要がある。もうすぐこの手は血に染まる…その血で、思い出達が汚れて仕舞う前に。私は昔からの夢で、必死の思いで入学した早乙女学園を自主退学した。理由は一身上の都合で。私の覚悟を組み取ったのだろう学園長は受け取ってくれたが、友達や仲間などは中々納得してくれなかった。特にパートナーのトキヤは1番真剣に私を引き止めてくれた。「貴女以外にパートナーなど有り得ません」「退学など考え直して下さい」しまいには「私は貴女を…愛しています」という告白までされてしまった。
実を言うと、私だってトキヤにパートナー以上の感情を――つまり愛していたのだ。彼の音楽も彼自身も。なのでこの愛の告白は私にとっては涙が出る程嬉しいもので、思わず心が揺らいだ。
でも、いけない。幸せな感情は、後で悲劇を産んでしまう。
私はトキヤに「…ごめん。」とだけ言って、この学園を去った。



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