永遠をくれてやる(甘?)








「僕は死を克服するんだ」

真夜中の冷たい談話室で
本を読んでいる姫に断言すると
彼女は一瞬僕を見て
それから、そう、とだけ呟き
また本を読み始めた

─気に入らない

僕は姫の手から本を奪い取り
鼻先がくっつきそうなくらいまで近づいて
視線を無理矢理合わせて
言ってやった

「永遠の命を手に入れるんだ」

本を奪われた姫は
不服そうな表情をしていた
そして酷くどうでもよさそうに
僕の言葉に、頑張ってね、と返した


「人事じゃないよ。君も永遠の命を手に入れるんだ」

少し睨み付けると
姫はきょとんとして
何故、と疑問を口にした


「僕の隣にいるためだ」

僕が理由を教えれば
彼女はにっこりと笑った

「素敵な話ね。だけど願い下げよ」

「…何故」

今度は僕が疑問を口にする番だった

視線と視線がぶつかる
彼女の瞳の中には
何とも言えない表情の僕が写っていた


「だって、愛する人が朽ちていくのを見続けるなんて辛いもの」

切な気に言った姫に
僕は朽ちていかない、と言ってやれば
そういう意味じゃないと言われた


「…理解できないな」

「まぁ理解できたら不死なんて望まないでしょうよ」

クスクスと笑いだした姫に
段々腹が立ってきた
すると彼女は、
でも、と言葉を続けた

「私を永遠に離さないって誓ってくれるなら、永遠の命、もらってやってもいいよ」

そう言って
生意気に微笑んでみせた姫の唇に
僕は思いっきり噛みついてやった


永遠をくれてやる




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