愛の誓い(狂/歪/甘?)


※暴力表現あり






─世界には、僕と君とがいればいい
 他の人なんていらないでしょ?

パンドラ内のとある一室
僕は愛する姫と一緒にいた
僕らは所謂、恋人だ
しかし、甘い雰囲気なんて
どこにもなかった

何故って?
姫が遅れてきたから
それだけじゃない
僕はその理由が気に食わないんだ


「で?さっきまでどこに行ってたの?」

さっきから繰り返される同じ質問
ただ、さっきまでと違うのは
僕が姫の細い首を
指先の色が変わるくらい
ギリギリギリと
きつく絞め上げていることだ

「ぐっ…は……っ!」

可愛らしい赤い唇から
苦し気な吐息が漏れた

「ほら、早く答えてよ」

それでも僕は
力を緩めずに首を絞める


「…ごめ、なさ……っ」

それは本当に
蚊のなく様な声だった
注意していなければ
まず気付かなかっただろう

だけど、別に僕は
謝ってほしい訳じゃないんだ
ただ“どこに行ってたのか”
姫の口からそれを聞きたいんだ

「質問の答えと違うよね」

気に入らなかった
姫が僕に隠し事をすることが
僕を誤魔化そうとすることが

「帽子屋さんと会ってたんでしょ?」

─知ってるんだ

耳元でそう囁けば
姫は僅かに目を見開いた


「僕、前にも言ったよね?“もう帽子屋さんには会わないで”って」

我ながら冷たい声が出たと思う
思わず首を絞める腕に力がはいる
だけど絞めきりはしない
決して意識は飛ばさせない

僕が味わった痛みを
姫にも知ってほしいから

「そしたら姫も“わかった”って言ったよね?」

苦しい苦しい苦しい
姫が帽子屋さんなんかと
一緒にいたなんて
痛い痛い痛い
心臓が握り潰されそうだ

「っ……」


姫の意識が
飛びそうになっていたから、
首を絞める手を離した
一気に肺に入ってきた空気に
姫はゲホゲホと酷く噎せていた

首には僕の手の痕がある
まるで首輪みたいだ

未だに噎せている
姫の肩をつかむと、
彼女の肩は大袈裟に跳ねた


「ねぇ、次に帽子屋さんに会ったりしたら…閉じ込めちゃうからね?」

そして縛るように抱き締める

姫はまた蚊のなく様な声で
“わかった”と言った

「姫、愛してるよ…」

僕はそのまま彼女の唇を奪った



可愛い可愛い僕だけの君に、
これ以上ない愛の誓いを





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