赤い化粧(微糖/血)


※姫=女武将






敵将は三成と姫が討ち取った
もう間もなく勝利の狼煙が上がるだろう

三成は刀についた血を振り払い
静かに鞘に納めた
チン、と小気味の良い音がした

姫も血を振り払い
刀を鞘に納めた
そして三成に近より話しかけた


「お疲れ、三成」

「あぁ」

先程まで人を殺めていたとは
到底思えない様な可憐な笑顔を浮かべて話しかける姫
対して、三成は全身血塗れで
ぎらついた目をしている
いかにも、という出で立ちだ

「相変わらず血塗れだね…怪我は?」

「ない。全て返り血だ」

「そう?ならいいの」

そう言って踵を返した姫に
今度は三成が話しかけた

「貴様こそ相変わらずだな」

姫は振り返り
何が?と首を傾げた


「姫、貴様はなぜ返り血を浴びない?」

姫は三成と同じくらい
戦っているにも関わらず
いつも返り血一つ浴びない
戦の度に血塗れになる三成にとって
それは不思議で仕方なかった

そんな三成の質問に対し
姫は曖昧に笑いながら言った

三成みたいにお化粧が似合う様な顔じゃないから、と


それを聞いた三成は
数秒考えるそぶりを見せた後
無言で姫の顔に左手を伸ばし
自分の手についていた血を
ぐい、と塗りつけた

「ちょっと…っ!」

姫の制止の声も聞かず
何度も何度も塗りつける

「ちょっと三成!いい加減に…」

きつく発せられた言葉に
ようやく手を止めた三成は
不満顔の姫とは反対に
大層満足そうに口角を上げた

「存外、様になっている。悪くないぞ」

そう言うや否や
さっさと踵を返し
歩いていってしまった

姫は数秒間
唖然と立ち尽くしていたが
直ぐに気を取り戻して
三成の後を追った


血を付けた自分を見て
満足そうに口角を上げた三成に
今度からは少しくらい
血を浴びてやってもいいかな
と思った姫であった




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