サイン(シリアス?/パロ)


※学パロ






猿飛が体育の時間にぶっ倒れて
保健室に運ばれたって
真田から聞いた

こんだけくそ暑い中体育なんて
そりゃあ熱中症にもなるわ、
なんて思っていたが
話によれば熱中症ではなく
ただの熱…どうやら風邪らしい


「これだから伊達に“猿”って言われんだよ」

ベッドに横たわっている猿飛の横へ
適当な椅子を引きずってきて
腰を掛けて話し出せば
猿飛は弱々しく苦笑した

額に張ってある熱冷ましのシートが
何とも間抜けだ


「授業、いいの?」

猿飛の言う通り今はもう
次の授業が始まっている
さっき本鈴が鳴っていた

「親愛なる猿飛のお見舞いで忙しくて授業受けらんない」

幸いなことに保健医はここにいない
それに次の授業は英語だ
面倒だから丁度いい

「俺様をサボる口実にしないでよねー…」

そう言ってまた苦笑した猿飛は
辛そうに瞼を閉じた
やっぱり具合が悪いみたいだ


いつもより覇気のない声
覇気のない表情
少しだけ心配になった

よくわからないけど
このままこいつを一人にしたら
すーっと消えちゃいそうな
そんな気がした


いつもなら大して気にならない沈黙が、
やけに重く感じた


「ねえ、なんかあたしにできることある?」

「付き合って」

「そのまま熱に魘されて死ね」


真面目に聞いた自分がアホらしく思えた
何なんだこいつは
ちょっと心配してやれば
すぐに調子に乗りやがって


イラついて見舞う気が失せたから
授業にでも行ってやろうかと
椅子から立ち上がったら
猿飛の手があたしの腕を捕まえた


「…何」

「どこいくの」

「授業」

「サボるんじゃ、ないの?」

「ムカついたから帰る。手、離して」

「やだ」

「死ね」

「行かないでよ」

「乙女か」

「熱あると人肌恋しくなるって言うじゃん」

「自分の手でも握ってろ」


なんて、くだらない言い合いをしていたら
捕まれていた腕がミシミシと軋んだ
こいつ具合悪いんじゃないのかよ


「痛いんだけ…」

「あのさ、」


相変わらず弱々しい声なくせに
何だか真剣な声だったから
あたしはびっくりして押し黙った


「ちょっとだけ、ほんのちょっとだけでいいからさ」

一瞬泣いてるのかと思った
空いている方の腕で顔を隠した猿飛は
絞り出す様な声で、言った

「俺様のこと、好きになって、愛してよ」


そういえばこいつは複雑な家庭環境だって
大谷が言ってた気がする
ひとりぼっちなんだって
言ってた気がする


君の“愛して”が僕には
“助けて”と、確かに聞こえた




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