軋む音(切?/悲?/死)


※姫=戦忍






武田軍は戦に勝った

しかし真田の大将は
泣きながら言った

“姫は死んだ”と


敵の鉄砲から大将を守って
その傷が致命傷となって死んだらしい


「某のせいで、姫は…姫は…っ!!」

「大将の責任じゃないさ」

「しかしっ!」

「戦忍として死ねたんだ。姫も本望だろうよ」

「…っ」

「大将、死人を数えてちゃキリがないんだ。戦忍なんてモノは特にだ」


城内で泣き崩れる大将を
何とか言いくるめて
俺様はまた次の任務へ向かう為に
闇夜を駆けた


この任務は姫と行くはずだった
でも、姫は死んだ
戦忍として主を守って死んだ
死んだんだ

姫の戦力は決して
少ないものではなかったから
きっと数日後には
新しい戦忍を雇うだろう

戦忍は使い捨ての駒なのだ
笑顔も涙も要らない
必要なのは技だけ


「戦忍なんてモノはそんなモノさ」


木々の間を駆け抜ける度
ギシギシと木が軋む
いつもなら有り得ない事だ
もしかしたら、姫が死んで
気が立っているのかもしれない


「感情は要らないってのになー…俺様もまだまだかね」


なんともないはずのこころが
ギシギシと音を立てて軋むんだ



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