永遠の恋人(甘?/パロ)


※大学生パロ






僕は一世一代の
プロポーズをすることにした
相手は高校時代の友人で
僕の彼女の姫だ

姫とは大学は同じだが学部は違う
僕は生化学を学んでいて、
彼女は哲学を学んでいる

お互いに忙しくが、それでも
時間を見つけては二人でいたし、
デートもよくした


付き合ってからもう何年だろうか
高二の夏に付き合い始めて、
今は大学四年の秋だから
ざっと計算して六年といったところか

お互いに気持ちが冷めることもなく
ずっと同じ様に過ごしてきた関係
僕はこの平行線のままの関係を
どうにかして変えたかった
だからプロポーズをした


「僕と婚約してくれないかい」

デートの帰り、
姫の住んでいるアパートの前で
僕は言った

すると彼女は少しの間黙って
それから言った

「半兵衛はキルケゴールとレギーネの婚約破棄の話、知ってる?」


キルケゴールとレギーネの婚約破棄の話
それは確か、
デンマークの哲学者キルケゴールが
レギーネという女性に
自分から求婚し、
婚約が成立したにも関わらず、
その婚約から約一年後に
彼自身が一方的に婚約を破棄した
婚約破棄の原因は
キルケゴールがレギーネを
自身の“憂愁”の呪縛に
引きずり込むまいとしたからだとか
確かそんな話だったはずだ


「ああ、一応知っているよ。君は本当に哲学が好きだね」

僕がそう返すと姫は笑って、
なら話は早いわね、と言葉を続けた

「愛故に婚約を破棄したキルケゴールにとってレギーネは永遠の恋人だったの」

「…要するに、僕はフラれてしまったのかな?」

「半兵衛が嫌いな訳じゃないの。でもね、私も、半兵衛の永遠の恋人でいたいの」


すっかり日が落ちた空を見上げて
そう言った彼女の表情は、
何とも満足気でとても綺麗だった


「君らしい返事だね」

「ありがとう」

「婚約の話は無しにしよう。その代わり、僕の永遠の恋人でいてくれるかい?」

「もちろん」


ただの恋人という関係から
永遠の恋人という関係に変わった僕らは
抱き合って口付けを交わした


永遠の恋人




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