(シリアス?)








太閤が亡くなってから、
家康に討たれてから、
気が付いたんだ

戦なんてものは虚しいだけだと

だが、気が付くのが遅すぎた
私は数え切れない程
多くの人間を殺してきた
自分が味わったこの虚無感を
私は誰かに与えていたのだ

気が付くのが遅すぎた
けれど、気が付いてしまった

そうなれば、もう戦えなかった


私は利き腕の腱を切り
刀を、戦場を捨てた
罪滅ぼしにすらなりはしないが
私なりのけじめだった


代わりとばかりに三成が戦場を駆けた
多くの血が、流れた

三成は、戦場を捨てた私を側に置いた

そして、誰かに虚無感を与えた
私と同じその腕で
私を抱き締めるのだ


「姫、何故泣いている」

「三成…何故わからないんだ」

「貴様は何も案ずるな」

「三成、私の話を聞いておくれよ」

「明日は家康の首を持ち帰る」

「首なんかいらないんだよ」

「秀吉様の仇は、私が討つ」

「三成…」

どんなに正義を掲げたとしても
戦なんてものは、所詮はただの
人殺しにしか過ぎないんだよ
栄光や栄誉なんて
そんなものは得られない
あるのは果てしない虚無感だけなんだよ


「何度も何度も言ってるじゃないか」

「勝つのは、私だ」

「…何故、分かってくれないんだ」


噛み合わない会話を
虚無を産む腕の中でしながら
私は静かに泣いた


利き腕が、痛んだ




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