ころしかた(グロ?/微糖?)


※姫=女武将






文字通り生者が誰もいない戦場を一人歩く
右手に握っている刀がふるわれることは
まずないだろう


あそこの人だったものは首がない
そっちの人だったものは足がない
あっちの人だったものは腕がない
私の足元には指が転がっている

三成が通った後は
まるで獣が人を襲ったあとみたいだ

生きている人間なんて
誰一人としていない


人だったものを辿って行くと
三成の後ろ姿が見えた
彼の周りには、やはり
人だったものが転がっていた
人だったものが身に付けている甲冑から
それが敵大将だということが
かろうじてわかった


「三成」

名前を呼べば
彼はフラリと振り返った

いつか倒れてしまうのではないか
と思うくらい細い体には
おびただしい程の返り血が
べっとりとこびりついていて
戦は終わったというのに
三成のぎらついた目は
未だに敵を探しているのか
忙しなく動いている

「三成」

もう一度名前を呼んでやれば
忙しなく動いていた目玉は
ようやく私に向けられた


「三成、もう少し綺麗に殺せないの?」

見ていてあまり
気持ちのいいものじゃあないよ

そう言ったら睨まれた

「殺し方に綺麗も汚いもあるものか」

「あるんだよ」

「理解できん」


三成はそれだけ言うと
自陣へ向けて歩き出した
しかし、数歩歩いたところで止まって
こちらを振り返った
どうかしたのかと問えば
少し考える素振りをみせてから
口を開いた

「貴様が死ぬ時は、私に綺麗に殺されろ」

言い切って満足気に口角を上げた三成は
また歩き出した


「要するに勝手に死ぬな、ってことか…綺麗に殺してくれるのを期待してるよ」

私も三成の後を追って歩き出した



ころしかた




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