蒼い恋に堕ちる(シリアス?/甘?/パロ)


※学パロ






あと一歩、
そこで名を呼ばれた

ゆるりと振り返れば
息を切らせ膝に手をあてながらも
こちらを見つめる伊達がいた

「速かったね」

至極楽し気な声で短く言えば
もうこんなことはやめろ、と
至極悲痛な声で叫ばれた


これで七回目くらいだろうか
伊達とはしょっちゅう
ゲームをして遊んでいる

ルールは簡単
私が死ぬのを阻止できたら
伊達の勝ち
私が死ねば私の勝ち

それで今回は
家まで帰った伊達に電話で
十分後に学校の屋上から飛び降ります、
はいゲームスタート
とだけ言って
カウントダウンを始めたのだが、
どうやら不評だった様だ


「面白くなかった?」

「ふざけんな」

息を整えながらも一歩一歩
真面目な顔して
こっちに近付いてくる伊達に
普段は何とも思わないのに
何故だか今回はとても恐怖した


「私が勝ったんだから、こっちくんな」

「間に合ったから俺の勝ちだろ、馬鹿みたいなこと、やめろ」

びゅうっと風が吹いて
私の髪を乱暴に撫でていった

「十七秒過ぎてる、ルール違反でしょ。こっち、くんなって」

「ルール違反だ?アンタはまだ死んじゃいねぇから、俺の勝ちだろ」

じりじりと縮まる距離に
どうしても耐えられなくて
私も後ろに身を引いた
そしたらグラリと体が傾いた

そう言えば、もう私の後ろには
地面がなかったんだ、と今更思った

スローモーションで
学校の屋上から落ちていく
そんな様子が頭をよぎった

ほら、やっぱり私の勝ちじゃんか

「っ危ねぇ!!」

伊達がこっちに手を伸ばしてる
でもきっと間に合わないさ
私の勝ちだって言ったろう
ざまあみろ、
なんてぼんやり考えて
このまま重力に身を任せてしまおうと
瞼を閉じた


次の瞬間は
痛いのすらもわからなかった


だけど代わりに
誰かの温かさを感じて
うっすらと目を開けると
目の前に伊達の眼帯があって
近い、と身動ぎしたら
馬鹿野郎、とそのまま抱き締められた

目玉だけ動かして周りを見てみれば
どうやら私と伊達は
屋上のコンクリートの上で
抱き合っている様だった

ああ、残念、伊達の勝ちか

額に降ってきた温かい滴と
ずずっと鼻を啜る音がして
やっぱり私の勝ちかな
なんて、考えたけど

俺がずっと傍にいるから
もうこんなことするな、と
しみったれた声がしたから
仕方なく敗けを認めてやることにした


蒼い恋に堕ちる




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