耳鳴り(切?/甘?/パロ)


※転生パロ(?)





修学旅行で京都に来た私は
班員といろいろな名所を巡っていた
それでたまたま
ある場所を通ったとき
歩くことすらできないくらい
物凄い耳鳴りがした

班員と距離が開く
だけど、あまりにも酷い耳鳴りで
待って、と言うことすらも
できなかった


班員が完全に見えなくなってしまった頃
その耳鳴りの中に
いつの間にか、大勢の人が
ざわめいている音が混じってきた

殺せ、罪人め、斬首だろう、
まだやらないのか、こわいねえ、
殺せ、殺せ、

そんな声がいくつも聞こえる

私は気が狂いそうになって
目を瞑り耳を塞いだ


しばらくそうしたままでいたら
幾らか声がおさまった
それで、目を開けてみたら
そこは今までいた場所とは
違う場所にだった

目の前には
竹で作られているであろう柵
自分の周りには時代劇に出てくる様な
大勢の人、人、人
そして柵の向こう側には
真っ白な和服を着た
綺麗な人が座っていた


その真っ白な人と
目があった、気がした


私はまるで引き付けられているみたいに、
その人から目が離せなくなった

そして次の瞬間、
その真っ白な人は
小さく不適に笑って
これまた小さく口を動かした

何か言っている
私は慌てて耳から手を離した


手を離すと雑音が聞こえてきた

周りにいた人々は
いつの間にか
現代の人間になっていて、
あの柵もない

だけど私は
柵の向こう側であった場所から
目が離せなかった

あの真っ白な人に良く似た人が
そこにいて、こちらに向かって
小さく不適に笑っていたから


その人は人混みの中を
波を裂く様に歩み寄ってくる

それをぼんやりと見ていた
私の目の前が急に暗くなった
頬には人の温もりがある
抱き締められていると理解した

「ようやく見つけた」

全く知らない人のはずなのに
その声に、温もりに
何故だか酷く安心した

「姫、貴様を探していた、400年間ずっと」

その言葉は不思議なくらい
すとんと胸に落ちた
私の目に涙が滲んだ

「…お帰りなさい、三成様」


その瞬間、耳鳴りは消滅した



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