親友以上恋人未満(甘/パロ)


※姫=政宗の幼なじみ 学パロ






下校時刻間際の教室に
女、姫はいた

日は随分と短くなり
外は既に暗い


ガラリ、と教室のドアが開く音
振り返れば友人がいた


「あ、佐助」

「あららー?姫ちゃんまだ帰らないの?」


佐助と呼ばれた
鞄を担いだ姫の友人は
グルリと教室内を見回し
一人でいる姫を見つめた


「んー、まぁね」

「よかったら俺様と帰らない?」


“暗いし送るよ”
有り難い申し出だった


「あー…ごめん、政宗待ってるんだ」


しかし姫は人を待っていた
幼なじみの伊達政宗を


「まーたラブラブ下校?竜の旦那が羨ましいよ…」


大袈裟に肩をすくめた佐助は
すぐに諦めた様に笑った


「じゃあ、また明日ね姫ちゃん」

「うん、ごめんね、また明日」


手を振り見送り
また一人で待つ

それから少しして
待ち人がやって来た


「Sorry 待たせたな」

「委員会だし仕方ないよ」


鞄を持ちパタパタと政宗に駆け寄る


「Thanks」

「どういたしましてー」


校門を出ていつもと同じ道を
いつもと同じ様に並んで歩く


「うー…寒い…」


最近はかなり冷え込んできた
それでも、まだまだ
本格的な冬という訳ではなく
マフラーやコートを
身に付けて歩くには
少々早い季節だ


「そんなに寒いか?」

「寒いよ、手冷たくなってきた」


姫は自分の手と手を擦り合わせ
手を温めようとしていた


「Hum…」


すると政宗が姫の手を握り
自分の手ごと
ズボンのポケットに捩じ込んだ


「ちょっと政宗、手」

「Shit…あったけぇからいいだろ?」

「片手だけじゃん」

「何なら両手ともやるか?」

「冗談」


ぎゅっと握り締められる手
離す気はさらさらないらしい


「…どこぞのカップル?」


姫が冗談混じりに呟いた言葉に


「俺と姫のカップル、you see?」


政宗はやけに真剣な目をして
真っ直ぐに姫の目を見つめて返した


「え、それって…」

「…さっさと帰るぞ」


姫の問い掛けに答えることなく
視線を外しさっさと歩き出す政宗

その頬が僅に
赤く染まっていたことに
気付いた者は誰もいない



親友以上恋人未満


(ちょっ…歩くの速いって!)
(Ha!姫が遅いだけだろ?)
(…それと、さっきのアレ何?)
(アレってどれだよ)
(政宗と私のカップルってやつ)
(Ahー…I don't know)
(しらばっくれないで教えなさいよ!)
((気付けよhoney…))



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