鎖で繋いだ愛 (狂)
※監禁ネタ
─ジャラリ
金属のぶつかる音
その音の発信源は
ベッドに横たわる姫の
右足首に繋がれている鎖だった
片方は頑丈な柱に
くくりつけられている
今、姫のいる場所には
ベッドと椅子があるだけで
他の家具は何もなかった
かろうじて窓はあったが
とても小さかった
出入口は鎖に繋がっていては
届かない距離にある
まるで牢屋の様な場所
そんな場所に
姫はもう何日もいる
いや、何ヶ月かもしれない
姫は時間の感覚が
なくなりかけていた
この牢屋から出るには
鎖を切らなければならない
しかし、その鎖を切るための
道具などあるはずもない
それでも、なんとかして
ここから出なければ─
「逃げなくちゃ…逃げなくちゃ…っ」
─カンカンカン
鎖と柱がぶつかりあい
高い音が鳴る
「逃げなくちゃ…っはずれて、はずれてよ!」
鎖を引っ張っても
柱はびくともしない
夢中になって鎖を引っ張っていたら
ぎぃっとドアの開く音がした姫の体は大袈裟に跳ねた
「姫、また逃げようとしてたのか?」
「っ…いち、ご」
ドアが開き入室してきたのは
友人であり、姫をここに繋ぎ止めている張本人、黒崎一護だった
「…もう逃げようとしないって、この前言ってなかったか?」
「ちが、これは…っん」
続くはずだった言葉は
一護の荒々しい口付けに
飲み込まれて消えた
長く荒々しい口付けが終わり
唇が離れれば
姫は、急に肺に流れ込んだ
大量の空気にむせた
「ごほっ…ごほっ……はっ、はっ…」
「好きなんだ、姫が…だから、どこにもいかないでくれ」
先ほどの荒々しさが嘘の様に
弱々しく吐き出された言葉
しかし、姫を抱き締める腕は
絶対に逃がさない、
とでも言う様に
きつくきつく締められていた
─鎖で繋いだ愛
もう逃がさない
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