傘、忘れました (甘)


※姫=真斗のパートナー






放課後の教室
私は机に向かって
林檎先生に頼まれた仕事を行なっている

そして、私の正面には
パートナーである真斗君

仕事を頼まれたのは私なのだが
真斗君も作業を手伝ってくれている
そのおかげで、
だいぶ終わりが見えてきた


─ザアァァッ

ふ、と教室の窓から外を見ると
雨が降っていた


そういえば、今朝
どこかのテレビ局の天気予報で

『今日は夕方から大雨になるでしょう。お出掛けの際は洗濯物をしまい、傘を忘れない様、注意して下さい』

と、お姉さんが言ってた気がする
だから、洗濯物はしまってきた
しかし、傘は忘れた


「降ってきたな」

私が外を眺めていることに気付いた真斗君は、私と同じ様に窓の外を眺め呟いた

「ね、洗濯物しまってきてよかった」

「そうだな。さあ、もう少しだ。一気に終わらせよう」

「うん」

真斗君の仕事再開の言葉で
残り僅かな仕事を進める

それから15分もしないで
仕事は終わった


「これを月宮先生に渡せば終わりだな」

「じゃあ、ちょっと渡しに行ってくるね」

そう言って出来上がった物を手に
席を立った

すると、真斗君も
“俺も一緒に行こう”と言って
立ち上がった

出来上がった物を
林檎先生に渡した後は
荷物を取りに教室に戻る


外は相変わらずの大雨だった


「今日は本当にありがとう」

校舎の出口で
改めてお礼を告げれば
大したことではない
と、笑顔でかえされた

「じゃあ、また明日ね」

一歩踏み出そうとした瞬間

「ちょっと待て」

真斗君が私の腕を掴んだ


「何?」

「姫、傘はどうした?」

「…忘れちゃったからない」

「雨の中傘もささずに歩くのは良くない。風邪をひいてしまうぞ」

「でも、止みそうにないし」

空を見上げて言えば
真斗君は溜め息混じりに

「洗濯物はしまったのに傘を忘れるとは…全く、姫らしいな」

そう言って
自分のカバンの中に手を入れた

取り出されたのは
紺色の折り畳み傘

「姫さえ良ければ、その…一緒にさして帰らないか?」

真斗君の頬が
若干赤らんでいたのは
気のせいじゃないと思う

「じゃあ…お言葉に甘えて」



─傘、忘れました

本当は、
あなたと相合い傘がしたくて
わざと忘れてきた
なんて言えない







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