永遠のラブソング (切/甘)


※姫視点 砂月=那月
 那月×春歌 前提






「姫さん、これさっちゃんが姫さんにって…」

那月くんから渡されたのは
一枚のCD
差出人は今はもういない彼

「ありがとう…」

「姫さん、ごめんなさい」

「どうして那月くんが謝るの?これは砂月くんが決めたことなんだから…」

そう、これは彼が、
砂月くんが望んだことなのだから

春歌ちゃんと好き同士だと分かってからの那月くんは幸せに溢れていた
那月くんの幸せは
砂月くんが望んでいたこと
だけど、砂月くんは
「那月の幸せに俺はいらない」
そう言って消えることを選んだ

私の気持ちも知らないで


「だけど、姫さんはさっちゃんのことが─」

「もういいよ、那月くん。これ、ありがとう」

私は那月くんの言葉を遮って
背を向けて逃げるように
その場を立ち去った


“姫さんはさっちゃんのことが─”

続く言葉は予想できる
事実その通りだから
私は砂月くんが好きだった
いや、今でも好きだ

だからこそ、あの場から
逃げるように立ち去った
だからこそ、那月くんに
核心を突かれたくなかった

那月くんから
“好きだったのでしょう?”
なんて言われたら
何をするかわからなかったから
砂月くんが望んだ
那月くんの幸せを
壊しちゃいけないから


寮に帰ってきた私は
ヘッドホンをしてCDをかけた
再生ボタンがやけに押しにくかった

少しの間
直後聴こえてきた声
その声に目頭が熱くなった


『よお、姫。砂月だ。
 これを聴いてるってことは
 那月は幸せになれたんだな…
 それはそうと、お前、俺のこと
 本気で好きだっただろ?
 随分前から知ってたぜ?
 だからよ、悪かったな
 一緒にいてやれなくて…
 俺も、影じゃなけりゃ
 お前に想いを伝えてた。
 でも…今なら
 伝えてもいいよな?
 どうせ俺はいないんだしよ。
 俺の最期の想い、聴いてくれ─』


その言葉の後に聴こえたのは
砂月くんの歌声
伴奏も何もない、アカペラ

その歌詞には、
たくさんの想いが詰まってる
涙が出た

しばらくして
歌が終わった


『─どうせお前のことだ
 聴きながら酷い顔してたんだろ?
 とっとと顔洗ってこい。
 …聴いてくれてありがとな。
 それと…俺はお前が、
 姫が好きだった。
 …さて、時間だ。
 じゃあな、姫─ 』


CDが、止まった



あなたが残した一枚のCD
そに詰めこまれていたのは
ありったけの想い

永遠のラブソング







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