地動説(切?)


※みけちよ前提






“それでも地球は回ってる”
これを言ったのは
いつの時代の誰だっただろうか


真っ昼間のラウンジで
机に肘をついて
窓の外を眺めながらぼんやりと考えた
外は雨がシトシトと降っている


ああ、そうだ、
この地動説とやらを唱えて
異端者として殺されてしまった
17世紀の科学者は

「ガリレオ・ガリレイだ」

「ガリレオさんがどうかしましたか?」

独り言だったつもりなのに
反応があって内心驚いた
それを気取られない様に
声のしたラウンジの入口の方へ
視線をやると、
傘とビニール袋を携えた御狐神がいた

持ち物から察するに
買い物にでも出ていたのだろう
凛々蝶ちゃん至上主義な彼のことだ、
どうせ凛々蝶ちゃんの為にと
いろいろな物を買ってきたに違いない

昔も、今も、いつもそうだ

御狐神の中心は凛々蝶ちゃんだ
御狐神は、さながら
凛々蝶ちゃんと言う太陽の周りを回る
地球といったところか


「私は天動説の方が好きだって話かな」

「おや、珍しいですね。差し支えがなければ理由をお聞かせ願えますか?」

私の近くまでやってきて
そう問うた御狐神


御狐神が地球だから
天動説が好きだなんて
アホらしくて言えない

凛々蝶ちゃんが
御狐神に付きまとってる、と
一瞬でも考えた自分を
知ってほしくない

どんなに焦がれても
御狐神の中心は、私じゃない


「教えないよ」

「それは残念です」


大して残念そうに見えない
口先だけの台詞を言って
では私はこれで、と軽く頭を下げて
御狐神はエレベーターホールへと
歩いて行った


「それでも地球は回ってる…。結局は太陽が中心、か…ガリレオのばーか」



地動説

私が太陽だったなら
好きになれたかもしれないね








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