携帯電話 (切)


※ハヤト≠トキヤ(双子設定)
 姫=ハヤトの恋人






現代社会に生きる人々の
ほとんどが
どこに行くにも
持ち歩いている携帯電話

メールに電話、それにネットまで

ボタン1つで
遠くにいる人、
さらには世界中の人とも
簡単に繋がることができる
便利なコミュニケーションツール


私はその便利な携帯電話を取り出し
電話帳に登録されている
たくさんのアドレスの中から
ある人物の電話番号を開く

その電話番号で繋がる相手は
人気アイドルであり
私の恋人、一ノ瀬ハヤト


現在の時刻は午後11時

今はどこにいるのだろうか
もう仕事は終わっただろうか
聴きたいことは山ほどある

しばらく電話番号と
にらめっこをした後
思い切って発信ボタンを押した


繰り返される機械的な発信音
何コールしただろうか
発信音が止まった

「もしもし、ハヤト?」

私の問い掛けに重なるように
耳に当てているスピーカーから
聞こえてきたのは
またしても機械的な音


─只今、電話にでることができません


留守番メッセージを促す音
私は何も言わず電話を切った

最近、忙しさが増したのか
連絡をつけることすら
難しくなってきた

メールをしても
返ってくるのはマレだし
電話をしてもなかなか繋がらない

恋愛は御法度のアイドル
マメに連絡をすることは
元より無理に近い

分かってはいても
やはり寂しさはある
けれど、それを表に
だしてはいけない


「…仕方ないよ、だってハヤトは誰よりも人気者で、誰よりも忙しいもの」


頭に、心に言い聞かせ
寂しさを押し殺して
ベッドへ入る

そしてベッドの中から
携帯電話を机へ放り投げた

机と携帯電話が
ガツンとぶつかる音がした



壊れたっていいよ
繋がらない携帯電話なんて
ただの鉄屑でしかないもの







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