with me!(ほのぼの)
※来栖視点 姫=Sクラス
「分っかんねぇ…」
「んー?翔ちゃん、どこが分かんないの?」
「ここなんだけどよ…」
俺と姫は放課後の図書館で
問題とにらめっこ中
にらめっこ と言っても
姫はすらすらと問題を解いているから
事実上にらめっこしているのは
俺だけだったりする
毎回追試ギリギリな俺は
たまには良い点数を取りたいから…
と、成績優秀な姫にお願いして
テストの二週間前から
一緒に勉強させてもらっている
姫は姫で問題を解き
俺は分からない問題があれば聞く
そんな形で進めている
「…この問題苦手?」
「うっ……」
「えっとね…ここはまず、これをこっちに入れて答えを出して…で、この答えに当てはまるかどうかを…」
「あぁ!アレか!」
「できそう?」
「やってみる」
「また分からなくなったら言ってね?」
─カリカリカリカリ
ペンの走る音がする
チラリと姫を見れば
真剣な表情で問題を解いている
いつもの笑顔も可愛いけど
こういう表情もいいな…
なんて眺めていたら
顔を上げた姫と目が合った
「何か分からないのあった?」
「い、いや…別に、何でもねぇよ!」
「そう?」
視線を問題に戻す姫を見届けてから
俺も無理矢理視線を問題に引き戻す
─カリカリカリカリ
どれくらい経っただろうか
「…で、できた!!」
俺はやっと問題を解き終えた
「おっ!どれどれ〜?」
姫が俺のノートを覗き込む
ふわりと甘い香りがした
「…っすごい!やったよ翔ちゃん!あってるよ!!」
「マジで!?」
「マジで!!やったね!さすがだよ!明日のテストもいけるって!」
「お、おう!!」
***
一週間後
テストが返却された
「どーした、チビ。今回は珍しく良い点数じゃねーか…やればできるんだな」
「きたぁぁぁっ!!!」
結果は過去最高点
すぐに答案用紙を
姫の元へ持って行った
「できた!あの問題完璧!ついでに過去最高点!!」
「やったぁ!翔ちゃんやったね!!なんか嬉しくて泣きそう!」
自分のことの様に喜んでいる姫
その純粋な笑顔に少し顔が火照った
「その、アレだ。今回は姫のおかげだ…ありがとな」
「いやいや、頑張ったのは翔ちゃんだよ!本当によかった!!」
喜ぶ姫の腕が伸びてきて
─ぎゅっ
抱き締められた
「なっ…なななななななな」
「あ…ご、ごめんね!」
狼狽えていたら
パッと離れた温もり
「い、いや…べべべ別に……と、とにかくありがとな!!」
完全に火照った顔を
見られるわけにはいかなくて
俺はもう一度礼を言って
急いで自席に戻った
((翔、顔が赤いですよ?))
((知恵熱かい?それとも、レディに抱き締められたからかい?どっちだい、おチビちゃん?))
((ううううううるせぇぇぇぇっ!!))
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