赤いブランコ(切?→甘?)


※ちびっこ姫とちびっこレン






またダディに怒られた
知っているさ、
俺が家族から
嫌われていることくらい

だから今日も
屋敷を脱け出して
あの公園へ向かった

屋敷から少し離れた所に
あの公園はある

以前、ダディに怒られた時に
屋敷を脱け出して行ってから
そこは俺にとって
気を和らげることのできる
居場所の一つになった


しばらく歩けば
目的の公園についた
夕日がきれいだった
しかし、沈むには
まだ時間がありそうだ


俺は公園の敷地内に
入ってすぐに
園内の端にある
赤いブランコに向かった

二つあるブランコ
その左側には先客がいた

「あーっ!レンくんだぁ!」

俺が近づいていったことに気付いた
ブランコに乗った小さな女の子は
俺を見るなり大きな声を出し
こちらに向かって手を振ってくれた


「やぁ、姫、今日も一人なの?」

「うん、今日も一人」


女の子の名前は姫といった
初めてこの公園に来たとき
姫に出会って一緒に話をした
いわゆるトモダチ

姫は晴れている日は毎日
ここに来ている様だった
両親は共働きで
帰りも遅いのだと聞いた
それに帰ってきても
あまり話したりしないらしかった

お互いに家に居場所がない者同士
すぐに打ち解けた


「いっつも一人でここにいて、さみしくないの?」

前々から思っていたことを
俺は空いている右側のブランコに
座りながら聞いた

「前はさみしかったけど、レンくんがきてくれるようになってからは、さみしくないよ!」

にっこりと笑う姫は
まるで日だまりの様だと思った


ブランコをゆらゆらと揺らしながら
どうでもいい様な話をして
笑って、遊んで、歌って、

そうしていると
不思議と元気がわいてくる
明日こそは、そう思えてくる

この時間が俺の力になった


「そろそろ帰らないとな…」

「…レンくん、またきてくれる?」

「もちろん、また来るさ」

「じゃあ、ゆびきり!」

─ゆびきりげんまん

「それじゃあ…またね、姫」

「うん、またね!」


俺は来たときよりも
軽い足取りで
公園を出て屋敷に帰った



誰も知らない
俺だけの秘密の時間
公園の端に並んだ
二つの赤いブランコ



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