アウトオブ眼中(ギャグ?/甘?)


※来栖翔視点






─この状況はよ…
 いくらなんでも、なぁ…

俺は目の前の光景に
口元をひきつらせていた

姫とレンは付き合っている
なのに、だ

レンは相変わらず
女子を侍らせて
キャーキャー言われてるし
もう一方の姫は
トキヤが読んでいる本を
後ろから覗き込んだり
横から覗き込んだりと、
とりあえずトキヤに構って貰いたそうに
うろちょろしている


「ねぇねぇトキヤ〜。ひーまー。遊んでよーねぇってば〜」

「…姫、私は読書をしているのです。邪魔、しないで頂けますか?」

トキヤが視線を本から外して
溜め息混じりに言った
それに対して姫はというと

「ちょっとくらいいいじゃん、トキヤのケチ!」

と、強気な発言をした

が、トキヤはすぐに本へ視線を戻し
とてもめんどくさそうに言った

「そんなに構って貰いたいなら、私ではなく翔かレンに頼みなさい」

「むぅ…翔ちゃ〜ん」


その一言で
少し遠くから見ていた俺に
白羽の矢が立った

「翔ちゃん、あのね、皆構ってくれないの!酷いよね!ケチだよね!ありえないよね!」

口を尖らせながら
ブーブー文句を言う姫
レンのことは
まさにアウトオブ眼中


「あ、あぁ…えっと、姫」

「なに?」

「いや、あのさ…アレ、ほっといていいわけ?」

俺は女子を侍らせてるレンを指差し
小声で聞いた

「アレって?…あぁ、アレ?」

俺の指先を辿り
質問の内容を理解した姫


「…嫌じゃないのか?」

もしも嫌だと言ったら
レンに一発食らわせてやろう
そう決めていたのに…

「別に平気だよ?だって二人きりの時はずーっと一緒にいてくれるし、学校にいるときくらいはレンの隣をファンの子に譲らなきゃ」

「…は?」

「だから平気だって!」

にっこりと笑う姫は
本当に平気そうに笑っていた

「そ、そうか?…でも、もし何かあったらいつでも俺に相談しろよ?」

「その心配はないよ、おチビちゃん」


突如聞こえてきた声
誰かなんてすぐにわかった

「あれ?レン、女の子達はいいの?」

「あぁ、大丈夫さ。それよりハニー、少しくらいは嫉妬とかしてほしいな」

「えー…嫉妬とかよくわかんなーい」

いきなり現れたレンは
俺と姫の間を裂くように
わざと間に割り込んで
片手でしっかりと
姫の腰をホールドし、
もう一方の手は
姫の髪の毛に指を絡ませ、遊び始めた


「そんなハニーも可愛らしいね」

「もぅ、レンってば」


数分前とは違った意味で
目の前の光景に
口元をひきつらせる俺


「なんだよこのバカップル…」

俺の呟きに
読書をしていたトキヤが反応し
またしてもめんどくさそうに言った

「…翔、気にしたら負けです。今の彼らには私達のことなど眼中にありませんよ」



─アウトオブ眼中
 二人きりの世界!

((お前ら、いい加減にしろよな…))




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