瞼に落とした懺悔(HAYATO/切/微裏?)


※HAYATO≠トキヤ(本当に双子設定)
 ハヤト→ヒロイン→トキヤ






「ごめんね姫ちゃん…」

自分の隣で何も身に付けていない体を
隠す様に白いシーツにくるまって
すやすやと眠る少女、姫に
男、一ノ瀬ハヤトは声をかけた

勿論眠っているのだから
その言葉が聴こえることはない


姫、ハヤト、
ハヤトの弟のトキヤの三人は幼なじみで
小さい頃から仲がよかった
ずっと続くと思っていた関係は
成長するにつれ少しずつ歪んでいった

姫はハヤトの双子の弟である
トキヤに恋心を抱いていた
しかし、トキヤは姫を
女性として見ることはなかった
それを知っていながら、
ハヤトは姫のことが好きだった

所謂、三角関係
しかし、それも終わりを告げた


今朝、姫がトキヤに告白したらしい
“ずっと前から好きだった”と

きっと一世一代の告白だっただろう
だが、相変わらずトキヤは姫を
一人の女性として見ることが
できなかったらしく
姫はフラれてしまった

告白したと聞いたときは
目の前が真っ暗になった
けれどフラれてしまった

そう聞いたときは
姫には申し訳ないが安心した

だから言った

「僕が慰めてあげる」

そして抱いた


流されやすい姫に漬け込んだ
と言っても過言ではないだろう
最初こそ少しばかり抵抗したが
トキヤの声を真似て名前を呼べば
ぎゅっと目を瞑り大人しくなった

情事中、ハヤトはトキヤを真似た
双子ということもあり
我ながらそっくりだと思った
ハヤトはトキヤの声で
姫の名前を呼び続けた
しかし姫はトキヤともハヤトとも
一切名前を呼ばなかった


酷いことをしている自覚はあった
それでも、どうしようもなく愛しくて


「ごめんね…」

眠りに落ちている姫に
届くはずのない言葉を繰り返す

繋がった嬉しさと罪悪感
入り乱れてぐちゃぐちゃになる

壊れた関係
歪んだ関係
原因は、きっと自分

それでも、
どうしようもなく愛しくて


「今は無理だろうけど、いつかは僕の名前を呼んで……ごめんね、おやすみ」

ハヤトは姫の瞼にそっと口付け
自身も眠りに落ちた



─瞼に落とした懺悔
 それでも後悔はしていない



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