続く言葉(砂月/切?)
※砂月=那月
─私が好きなのは
「砂月くんは那月くんで、那月くんは砂月くん…だけど砂月くんは砂月くんで、那月くんも那月くん…」
「何度も言わせるな。俺は那月の影だ…それに、お前は那月が好きなんだろ?」
─誰だったっけ
私と那月くんが付き合ってから
砂月くんはよく出てくるようになってきた
砂月くんは口調こそ悪いけど
本当はとっても優しい人
話もあうし、何だかんだ言っても優しいし
本当のことを言ってくれる
それは那月くんもだけど…
だけど、何かが違う
やっぱり、二人は同じだけど
別人で、同じじゃない
私は砂月くんが出てくることを
楽しみにしているのかもしれない
私は那月くんが好き
じゃあ、砂月くんは?
砂月くんも好きなのかな?
砂月くんが好きなのかな?
私は誰が好きなのかな…?
「…おい!聞いてるのか?」
「あ…ご、ごめんなさい…で、何だっけ?」
一人、考えに没頭していて
砂月くんの話を聞いていなかった
「ったく…姫、お前は那月が好きなんだろ?」
表情は読み取れない
無感情ではないけれど
何もわからない
─ずきん
心臓をわしづかみされたような
そんな感覚がした
これは何の痛みなのか
一瞬でも砂月くんが好きだと思った
私の那月くんへの罪悪感なのか
砂月くんにそんなことを
言わせてしまった罪悪感なのか
それとも、やはり自分は
砂月くんが好きなのか…─
「どうなんだよ」
「わ、私は…」
「…俺は那月の影だ。いつかはいなくなる。だから、那月を大切にしろよ?」
ポンポンと頭を撫でられた
その手はすぐに頭の上から離れて
「そろそろ戻る」
あなたはまた闇に沈む
続く言葉を飲み込んだ
((本当はあなたが好きなのかもしれない))
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