一蓮托生(切/甘?)
※純血ヒロイン 枢視点
もう、みんないなくなった
親しくしていた人も
友と呼んだ吸血鬼も
みんなみんな
─灰になった
でも僕たちは生きている
純血種の永遠に等しい寿命には
誰もついてこられない
それは始めからわかっていたこと
僕の隣を歩けるのは
僕と同じ運命の
僕の最愛の姫だけで
姫は誰かが灰になると
朝日が昇るまで起きて
朝日に向かって涙を流す
そして必ず口にする
「弱いね、人も吸血鬼も…そうやってみんな、私をおいていく」
そんな姫を見ても
僕は何も言わない
ただ後ろからそっと抱き締めるだけ
強く、強く、
─君と同じ時間を歩けるのは僕だけだよ
─僕は君をおいていかないよ
そう告げるように
***
今日も誰かが灰になった
朝日が昇る中
やはり君は口にする
「弱いね、人も吸血鬼も…そうやってみんな、私をおいていく」
その姿がいつもよりも儚気で
今にも朝日に溶けてしまいそうに見えて
僕はいつもよりも強く姫を抱き締めながら今まで口にしなかった言葉を呟いた
「僕はこれからも、ずっとずっと姫と一緒だよ」
─僕は絶対に君をおいていかない
確かめるように
言い聞かせるように
ひとり、またひとり
灰になるたび
抱き締める力は強くなる
まわりは変わっていく中
僕らは変わらずここに在る
「愛してるよ、姫」
「枢、私もよ…ずっとずっと傍にいて…?」
─僕は君をおいていかない
君も僕をおいていかない
いつか一緒に灰になるまで
いつか一緒に灰になっても
僕たちはずっと一緒だから
一蓮托生
善くも悪くも、
僕らはずっとずっと一緒
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