二度目の人生(悲/死)
※純血ヒロイン 枢視点
─バァン
闇夜に一発の銃声が響いた
胸騒ぎがした
いつも近くにいるはずの姫がいないことが無性に不安で
姫の気配を探しに部屋を出た
姫の気配がなかなか見つからなくて不安で不安で
気付いたら走っていた
薔薇園から微かに姫の気配と血の香りがした
それを頼りに薔薇園に入る
「…姫?」
目に映ったのは
地面に広がる紅い水
噎せかえる甘い血の香りに目眩がする
「姫っ!」
紅い水の中心で横たわっている姫は驚くほど蒼白くて
駆け寄って抱き締めると随分と冷たくて
「どうしてこんな…っ」
僕には何故姫が倒れているのか
理解できなかった
理解したくなかった
姫が手に持っているのは僕らを殺すことができる唯一の武器
血が出ているのは左胸
「か…な、め…?」
うっすらと開いた瞳
苦しそうな声
「姫、喋っちゃ駄目だ…今すぐ僕の血を…「もう、いいの…」
姫は血を飲ませようとする僕の手を払い退けた
「何故…「もう、ね…つかれたの…」
─ピシピシ
姫の頬に亀裂が走る
「っ姫!!」
抱き締める腕に僅かに力がこもる
「かなめ…だい‥すきよ…‥ごめ、なさ……」
─パリン
抱き締めていたはずの姫の体は粉々に砕け手元には欠片しか残らなかった
何故、姫の力になってあげられなかったのか
何故、姫は自害しなければならなかったのか
何故、姫の傍にいてあげられなかったのか
後悔ばかりが浮かんだ
また、大切なモノを失ってしまった
雫が頬を伝い欠片の上に落ちた
─大切なモノを
二度も失うくらいなら、
二度目の人生なんていらなかった
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