鳥になりたい(切?/死?)


※臨也視点 やんわり死,監禁ネタ






─鳥になりたいの

窓のない部屋で君は言った


君が俺に連れられて
ここに来たのは
いつのことだったろうか

君を池袋の人波の中で見てから欲しくて
その純粋すぎる笑顔が
欲しくて欲しくて欲しくて欲しくて…

俺がたった一人の人間に執着するなんて、我ながらびっくりだったよ


そして俺は君を手に入れた


君を手に入れてから、俺は
君を窓一つない部屋に閉じ込めた
太陽の光に晒すだけでも惜しくて
俺だけが君を見ていたくて


閉じ込めたばかりの頃は
泣いて泣いて泣いて
正直めんどくさかった
まあ、そんなところも
可愛いんだけどね

しばらくしてからは
慣れたみたいで
また笑ってくれた
少し前に、街中で見た時とは
ちょっと違う気もしたけど
それほど気にならなかった


そんな君が最近は
“鳥になりたい”と言う

今までは
聞いて聞かないフリをしていた
しかし、最近はどうもおかしい
ことあるごとに
“鳥になりたい”と言う


俺はついに聞いた

「鳥になって何がしたいんだい?」

俺が聞けば君は
いつもの笑顔とは
また違った笑顔で

『ただ空を飛んで、たださえずりたいの』

と…。


「君は俺のモノだろ?俺の為にここにいて。俺の為にここでさえずっていて」

君は静かに目を伏せた


─鳥になりたいの


あのときの
君の笑顔が忘れられない



それから数日して


君は鳥になった


朝、俺が声を掛けたときには
もう飛んでいってしまった様だった

舌を咬み切った形跡があった


俺が追い込んだのかもしれない
たぶん、きっとそうだ


俺は鳥になった君に言った

「ちゃんと伝えてくれれば、空を飛ばしてあげられたのにね」


後悔はない

ただ少し

ほんの少しだけ

君を理解しきれなかった
自分自身に腹が立った


「姫…ちゃんと鳥になって空を飛べているかい?」

俺は窓のない部屋から
空を見上げた



─飛ぶための空がない
 この場所で、君は
 しっかり空を見つけ
 飛び立つことが
 できましたか?


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -