私とガラスと血とあなた(狂/病/血)
※姫視点
被害者:臨也
暗い鉛色の雲が漂う
灰色の空の下
人混みが蠢いて
そこには感情も思考もなくて
ただ耳障りな雑音が響いているだけ
─それもここからじゃわからないけどね
雲一つない
真っ白な空の下
私とあなたがいるだけで
ここには感情も思考もある
─狂おしい程の愛情
『そうでしょ?折原臨也さん?』
強化ガラスで仕切った向こう側
あなたはそこに座り込んでいる
若干血がついてるのは私の愛の現れってところかしら
本当に綺麗
うっとり眺めていたらあなたと目があった
─もう2ヶ月くらい経ったんじゃない?そろそろ俺にも飽きたでしょ?
スピーカーを通して聴こえる
あなたの綺麗な声
『飽きるわけないじゃない』
私はそう言って
こちらとそちらを繋ぐ唯一の扉をぬけてあなたの目の前に立つ
『だぁいすきよ、本当に…食べちゃいたいくらい』
「俺も人間は好きだよ。でも、お生憎さま。食人は理解できないな。あと君も。」
さらりと言った私にさらりと憎まれ口を返すあなた
あなたは憎まれ口を叩く姿も素敵ね
『誉め言葉として受け取るわ』「憎まれ口だってわかってる?」
『本当に綺麗ね』
私は袖口に隠していたナイフであなたの頬をすっと撫でる
すぐに紅い雫が滲み出て
一撫で
また一撫で
─痛みを表情に出さないあなた
嗚呼、本当に本当に
『ゾクゾクするわ』
「変態…」
─嗚呼、なんて綺麗なの…
まるでショーケースに入った
お人形さんね
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