拝啓 愛しい人(悲?/切)


※平助視点






真っ白な布団に横たわる姫は
まるで寝ているみたいだった

だけどその頬に、手に触れても
温もりは全く無くて
ただ氷の様に冷たい
真っ白な、肌


「馬鹿…逝くの早いって」


─ポツリ 零れた言葉

─ポツリ 酷く虚しく響く

─ポツリ 頬を伝う

─ポツリ まるで雨


ふっと枕元に目を落とせば
何やら紙の端っこが見えた

─藤堂平助様

見慣れた綺麗な姫の文字
どうやら俺宛ての手紙らしい



平助くんへ


私は貴方が大好きでした。
いつも眩しい位に明るい貴方。
私が落ち込んでいる時は
慰めに来てくれて…
私が泣いている時は
ずっと傍にいてくれて…
私が笑っている時は
一緒に笑ってくれて…
貴方はいつもいつも
私に元気をくれました。
本当に本当に感謝しています。
…何故こんな事を書いたかって?
理由は簡単です。
私はもう永くないからです。
だからせめて、想いを伝えておきたい
そう思ったのです。
私は貴方が大好きでした。
貴方はどうでしたか?
貴方も私のことを
想ってくれていましたか?
そうだったら嬉しいです。

さて。貴方がこれを読んでいる頃には
私はもうこの世にはいないでしょう。
平助くん、どうか幸せに生きて下さい。

でも一つだけ、
一つだけ我が儘を聞いて下さい。
私のことを忘れないで下さい。
もしも貴方が私を想ってくれていたのなら
また来世で逢いましょう。
その時は一緒に幸せになりましょう。
さようなら は言いません。
また逢いましょう。
私の愛しい人…


姫より



俺は静かに手紙をたたみ
眠っている姫にそっと呟いた


「俺も姫のことが大好きだった。いや、大好きだ。」


─ポツリ 零れた言葉

─ポツリ 胸に響く

─ポツリ 頬を伝う

─ポツリ お天気雨


「またな…姫。愛してる」


─拝啓 愛しい人
 お元気ですか?



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