涙(悲/死)
※沖田総司視点
僕は君を護るために刃を振るう
僕は君を護るための力が欲しかった
力が欲しが為に、
人間であることさえ捨てた
君を幸せにできるなら、
僕はどうなったって構わなかった
君が笑ってくれれば、
それだけでよかった
でも、今君は
僕を抱きしめて泣いている
僕は君を護るために刃を振るい、
敵の刃に倒れた
「ねえ、どうして泣いてるの?」
いつもみたいに
笑いながら言ってあげたかった
君の涙を拭ってあげたかった
だけどもう
それすらかなわなかった
身体が全然言うことを聞いてくれない
僕は君の目から溢れる涙を
ただただ
黙って見ている事しかできなかった
そのうちに段々と視界が霞んで来た
君に抱きしめられているのに、
ちっとも温もりを感じない
それが酷く寂しかった
─そして世界が闇に沈んだ
僕がこの世の最期に見たものは
愛する人の涙だった
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