この夜が死なない内に(切?/甘?)


それは、
暗い暗い夜のことでした


「ギン、そろそろ此処を出る時のようだ」

「…はい、藍染隊長」

「…何か気掛かりなことでも?」

「何言わはりますん?そないなもんあらしまへんよ」

「…そうか」


暗い暗い夜に
暗い暗いお話

彼らの話は
誰にも聞かれてはいけません
何故なら、
彼らは離反を起こす
という話をしていたからです


藍染と別れた後、
市丸は気分が沈んでいました

市丸には大切な女の子がいます
名前は姫、三番隊の席官です

しかし、市丸は魂尸界を出ていく身
彼女とは一緒にいられません
連れて行こうとも考えましたが
藍染にも置いていけと言われています

市丸は悩み、考えました
どうすれば彼女と一緒にいられるのか

実を言うと、市丸には考えがありました

しかし、考えはあるけれどなかなか実行に移せないでいたのです


「ギン…?」

暗い隊舎内を歩いていたら
向こうから愛しい姫が歩いてきました


「あれ?どこか行ってたの?」

「んー?ちょっとお散歩や」

「ふーん…」


市丸は思い付きました

─今なら


「…なあ姫、今からお散歩行かへん?」

「え?今行ってきたんじゃないの?」

「えぇから行くで」

市丸は彼女の手を取りずんずんと歩き出しました

「ちょ…どこいくの!?」


隊舎を抜け流魂街を抜け
たどり着いたのは森の中

「ちょっと、ギン、一体…」

「僕な、もう此処におられへんのや」

「え…?」

市丸は話し出しました

「離反するんや、魂尸界を裏切るん」

「なに、言ってるの…?」

「せやからもう姫と一緒におられへんのや」

「…嘘」

「ほんまや」

「なんで…っ」

「仕方ないんや…せやけど、僕は姫と離れとうない」

「わたし、だって…」


市丸は姫を抱き締めて
考えを実行に移す
最後の言葉を口にしました


「一緒に逃げてくれへん?」

「この夜が死んでしまわん内に…僕と一緒に逃げてくれへん?」





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