夢逢い(切)


※姫視点→吉良視点
 吉良→姫→市丸




最近、夢を見なくなった

昨晩みたいな雨の日は必ずと言っていい程見ていた夢があったのに…

友人の話によれば、その夢を見ている私は魘され泣いているらしい

吉良副隊長には
「魘されて泣く事が減ったから良かったと思えばいいんじゃないかな」

と 言われたが
私は魘されて泣く様な夢だとしてもあの夢を見ていたい

夢に人が出てくるのその人が自分を思ってくれているからだと聞いたことがある

なら、あの夢に出ていたあの人は…市丸隊長は…

もう私のことを思ってくれていないのでしょうか…?

『魘されて泣いてもいいんです。せめて夢の中でだけでも、あの人に…市丸隊長に出逢えれば、それで、それだけでいいんです』

吉良副隊長は そうか とだけ言って寂しそうに目を伏せた


―あぁ、市丸隊長、今貴方は、何を、誰を思っているのですか…?



***



『最近、あの夢を見なくなったんです…。昨晩みたいな雨の日は必ず見ていた夢があったのに…』

姫さんは寂しそうに呟いた

姫さんは雨の日の夜には必ずと言っていい程見る夢があるらしい

しかし それはあまり良い夢じゃなさそうで…

姫さんと仲の良い子の話によれば雨の日の夜は魘され、泣いているらしい

その夢がどんな夢か、姫さんに直接聴いた事はないけれど
魘されて泣くくらいだからあまり良い夢ではないのだろう

だから僕は言った
「魘されて泣く事が減ったと思えばいいんじゃないかな?」


すると姫さんは少し間を置いて

『魘されて泣いてもいいんです。せめて夢の中でだけでも、あの人に…市丸隊長に出逢えれば、それで、それだけでいいんです』

と言った


─やっぱり姫さんはあの人の事を思っているんだね


夢に出てくるのは相手が思ってくれているからだと聞いたことがある

姫さんはあの人に思っていてもらいたいんだね

僕はただ一言 そうか とだけ言い姫さんから目を反らした


─あぁ、市丸隊長 貴方は姫さんの事をどう思っているのですか?



((せめて夢の中では))
(貴方に逢いたい…)
(彼女を苦しめないで下さい…)


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