間にガラス(切/悲)
※グリムジョー視点
─離れんな
そう言って繋いだ手
いつまでも繋いでいられる と
そう思っていた
だけど、いつまでも なんて続く訳なくて
「グリムジョー…腕…」
「っせぇな!失せろ!」
「…ごめん」
東仙に片腕を消されてから
どうもギクシャクしだした関係
八つ当たりだというのはわかっていた
だけど他にどうすることもできなかった
「くそっ!!」
壁を殴ればビクリと肩を跳ねさせる姫
俺のせいで嫌がらせじみたことを受けている姫
そして、それを守ることもできず
ただ八つ当たりばかりする俺
─何故俺から離れない
聞いてみたところで
返ってくるのはいつも決まって
“好きだから”
その言葉は俺に安堵をくれた
と、同時に絶望も与えた
俺達の関係は
手にガラスの破片を持っている様だった
繋いだ手の間にはガラスの破片があって
ただ持っているだけなら大丈夫なのに
好きだと伝えれば伝える程
離さない様にと強く握れば握る程
破片は互いに食い込んで互いを傷付けていく
そんな関係だった
だから離すしかない
その紅い命の水が滴って
姫の綺麗な笑顔を曇らせる前に
汚してしまう前に
「っ…もう、二度と俺に面見せんじゃねェ」
「…え?な、に…言って」
「二度と俺の前に現れんなって言ってンだよ!!」
吐き捨てて、殴り飛ばす
振り返りは、しない
─間にガラス
僕は君の手を離す
互いを傷付けないために
そんな理由をつけて
嗚呼、僕はなんて弱いのだろう
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