報酬はイチゴ牛乳とパフェと特大の愛でいいよ 1/2
「んー、わかんね」
「どれ、見せてみ」
そろそろ扇風機が恋しくなってくる季節、俺は土方の部屋で勉強を見てやっていた。
何でそうなったかってのは、あれだ。
ご近所付き合いがどうのこうのってやつ。
幼馴染みの俺たちは、結構仲がいい方だったが、それ以上に親たちが仲がいい。
将来はウチの子を嫁にもらってくれないかしら、なんてにこやかに言ってた時は頭を抱えた。
俺としちゃあ嬉しいことこの上ないけど、人としてそれでいいのかよ。
しかも年上の俺が嫁?
そこは土方が嫁じゃないの?
まあ、親にそんなこと言ったところで「十四郎くんのほうがしっかりしてるじゃない」と、さも当然かのように返されてしまうのが落ちだろう。
そんなこんなで頭のネジがぶっ飛んだ親たちが、世間話というものに花を咲かせていたある日、
「最近十四郎の成績が伸び悩んでるのよねぇ」
なんていう土方の母親の一言から始まった。
元々頭のいい土方だ。
これ以上伸びしろがないんじゃないかと思っていたが、違うらしい。
どうやらテストの成績が一気に落ちてしまったらしい。
それから、また上がるだろうと信じていたらしいが、一向に上がる気配のない成績に、土方の母親は痺れを切らしたらしい。
そこで俺の出番ってこと。
俺は自分で言うのも何だが、勉強は出来る方だ。
高校も首席キープだったしな。
そんな俺は四年制大学に通っているため、時間には余裕があった。
その余っている時間を、土方の家庭教師に回してほしいと頼まれたのだ。
もちろん、俺は承諾した。
だって土方と一緒に居れるし?
でもそんな俺とは反対に土方は嫌そうな顔をした。
そんな土方に胸が痛んだが、それも少しの間。
暫くして観念したのか、溜め息を吐いて分からないところを聞いてきた。
それから、土方の家庭教師は続けている。
そんなある日、土方が突然、
「なぁ、これって何か報酬でもあんのか?」
これ、とは家庭教師のことだろうか。
「んー?特に無いかなぁ。何、土方が払ってくれんの?」
「アホか。俺にそんな金はねぇ」
「ちぇー」
ケラケラ笑うと、土方は呆れたような顔をした。
もしかして、ずっと気にかけていたのだろうか。
何だか可愛らしく見えて、クスッともう一度笑った。
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