晴れた夏、衝撃が直撃☆ 2/2
きっとガン見しすぎたのだろう。
水道でなにやら作業していた白い美人は、不意に顔をあげて俺を見つけた。
「何?学校の見学中?」
不思議そうな顔は、なんていうか本当に美人で、俺は声をかけられたことにも一瞬対応ができないくらい見惚れてしまった。
「うち来るの?」
水をパッパッと払い、俺の方にちょこちょこと駆け寄ってきた。
「!」
やばい。
半端なくやばい。
近くで見る白い美人は、離れてみるよりもずっとリアルに綺麗で、きっと俺の顔は笑えるくらいに赤くなっているはずだ。
「あの……。」
「?」
こんなに綺麗な人が目の前に現れて、鈴を転がすような声で俺に話しかけてきたうえに、さらに俺に近寄ってくる。
なんて出来すぎた話に、俺は一気にのぼせたのだろう。
「名前教えてください!」
「え?俺の?」
「はい!」
緊張で声が無駄に大きくなってしまう。
「これこれ。」
白い美人は半分後ろを向いて、お尻を突き出すように俺に見せてきた。
「!」
なんだそのポーズ!
けしからんぞ。
触ってほしいのか?尻を!
なんて思っていたら、袴の後ろ側に“坂田銀時”と名前が刺しゅうされていた。
「さかたぎんとき?」
「そ。」
ニコリと笑うその顔は、俺には攻撃力マックスだ。
なんだって、いちいちそんなに可憐なんだよ!
「銀時さん!!」
俺は無意識に銀時さんの手を両手で握りしめた。
「俺、絶対ここ受けます!」
「そっか。」
がんばって。とまたニコリ。
やばい。
可愛すぎだ。
鼻血出そう。
「で、絶対に受かります!!」
「うん。待ってるよ。」
待ってるよって。
何を?
俺を?
社交辞令だろうけど、俺の耳は都合のいいようにしか入ってこない。
「それで、あなたを俺のものにして見せます!」
「………………は?」
ニコニコしてたはずの顔が俺の言葉で急に驚いた顔に変わる。
さくらんぼみたいな目が真ん丸になって、やっぱり可愛い。
「俺絶対にここ来ます。銀時さん!覚悟しててくださいよ。」
最後に握りしめた手をぎゅぎゅと力を込める。
銀時さんは驚いたまま固まっているのか、何も言ってこない。
それをいいことに、俺は銀時さんの手の甲に軽くキスをする。
何ってキスだよ。
俺的に誓いのキス。みたいなやつ。
「!!!!!!!」
途端に赤く爆発する銀時さんの顔。
わーわーと慌てて、俺の手を振りほどいた。
「てめっ!ばかやろ!!」
振りほどいて、そのまま殴ろうとぶんぶん腕を振り回しだしたから、俺は避けるように体を離して校門に向かう。
「土方です。土方十四郎。」
覚えててくださいね。銀時さん。
逃げながら今更のように自己紹介をした。
「2度と来んなー!!」
白い頬を真っ赤に染めたまま、少し涙目で。
さっきまで優しかった先輩の顔はなりを潜め、その怒った顔はむしろ俺よりも幼く見える。
俺にキスされた手の甲を、拭くことも思いつかないほど驚いたのだろう。
手はそのまま丸められている袴の裾を握りしめていた。
今日来て良かった。
俺が無意識のうちに期待してたことって、きっとこのことなんだ。
予想もできなかったくらいの衝撃的な出会いに、俺のテンションはうなぎのぼりの天井知らず。
俺の(一応)志望校は結構な進学校で、本腰入れないときっと受からない。
でも彼に会って、“一応行きたい”から“絶対行きたい”に変わった。
今日からの俺はあんたに会うために必死になるんだろうな。
受験の理由が不純極まりないけど、でもだけど。
あの魅力にはあらがえない。
手に入れたい。
だから、待ってて。
俺はもう一度そのかわいい花のかんばせを拝み(だってしばらく会えなくなるし。)、校門にダッシュした。
end
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