短編 | ナノ

 ラッキースケベ




「個性事故ぉ!?」

朝一番にナマエはクラスメイトに囲まれていた

「いやぁ、朝階段から女の子が落ちちゃってそこに居合わせちゃったの…それで女の子は無事だったんだけど急な事で個性発動しちゃったみたい」

「で、で!どんな個性なんだよ!?」

前のめりになり切島が心配そうにナマエを見る
「どんくせぇ」と言いながらその後ろで爆豪もまた心配していた

「凶暴的な個性じゃ無いよ!…うん、大丈夫…」

大丈夫、大丈夫…とナマエは自分に言い聞かせるようにうなだれた

頑なにどんな個性にかかったか教えないままホームルームが始まりクラスメイトは後ろ髪を引かれる思いで席へ戻っていく


「…で、なんの個性なんだよ」

相澤がホームルームで話しているのを余所に隣の席の爆豪が小声で聞いてくる

「……ラッキースケベ」

「はぁ!?!」

ガタンッと音を立て席を立った爆豪にクラスメイトと相澤が驚き視線を移した
すぐに我に返った爆豪が何でもないような顔で席へと着くとナマエを睨みつけるように見る

「テメェは毎度毎度…厄介な事に巻き込まれやがって…なんだラッキースケベってふざけてんのか」

ジロリと爆豪はナマエを睨みつけるように見た

ごめん、と小さくなって無意識に爆豪に対してナマエは謝罪した

ホームルームが終わってから爆豪に個性源の女の子から聞いた限りの詳細を話した

ラッキースケベの期限は夕方6時まで、男女問わず無差別に行われる、期限までどんな個性でも消す事は不可能

説明を聞いた爆豪は大きなため息をついた
今日一日学校が終わるまでナマエから目を離せないという訳だ

しかしそこからが酷かった
移動教室で階段から転けたナマエの下には麗日が居りこけた拍子にスカートが捲れ上がりパンツが見えてしまい、廊下の曲がり角を曲がれば上鳴とぶつかった拍子で胸を触られてしまう

スカートが捲れた際は爆豪が急いで上着を投げ捨てナマエの下半身を隠す
白か…と呟く爆豪にナマエは真っ赤になりながら「忘れて!」と叫んでいた

上鳴に至っては爆豪に爆破されある意味悲惨だったが上鳴は顔を赤くしながら謝っていた

「思った以上に大変だよこの個性…勝己くんごめんね…?」

「謝んならハナっからかかってんじゃねぇ」

今朝から爆豪の額には青い血管が浮きっぱなしである
それに加えて周囲を威嚇し続けている

移動教室へ移動中の廊下でナマエと爆豪はこの地獄のような日が終わるまであともう少しと廊下を歩いていた

「…あ!切島くん!これ落とし…」

前を歩いていた切島がノートを落としたのを見てナマエが渡そうと廊下を走った時何もないはずの廊下でナマエが滑り切島を押し倒す形で倒れた

「いってて…っ!てごごごめん!!」

「いやっいいって!うん…!うん!大丈夫だから!」

切島も上鳴同様顔を赤くして自身が押し倒されている現状をなんとか理解して離れた

「ったく!テメェは油断も隙もねえな!?」

グイッと爆豪に腕を引かれてナマエが立ち上がると爆豪と切島に再度謝罪して無事に教室へ行くことができた

そして今日最後の授業を終えた放課後疲れ切った爆豪とナマエの2人が夕陽が照らす教室で6時を待っていた

「今日は本当ありがとう勝己くん」

「二度と厄介な個性にかかんじゃねぇぞ」

「気をつけるよ…そろそろ時間だね!」

帰ろっか、と席を立ったのが午後5時59分
最後の最後で個性が発動し席を立ったナマエが椅子に足を引っ掛けて爆豪に正面からもたれ込む形で倒れた

「…!本当ごめん!すぐ退く!」

向き合う形で倒れると爆豪の顔が驚くほど近くにある
放課後の誰もいない教室でこれではまるで恋人が今からキスでもするようなシチュエーションだ

すぐに退こうとしたナマエの腕を爆豪は無意識のうちに掴んで引き止めた

「俺だけにしとけや」

耳元で囁かれ音が出そうなぐらい顔を赤くしたナマエを見て爆豪は満足そうにニヤリと笑うと腕を離した

(…二度と個性事故には会いたくない…!)







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