「土方さん。」


「もうない。」


「まだ何も言ってないですよ。」


「お前の考えぐらい読めてんだよ。」


「ちっ。」



はやくくれと言わんばかりに差し出された手はひらひらと上下に動き続けている。


正月だろうが元旦だろうが1月だろうがそんなもの俺には関係ない。
溜まりに溜まった始末書を書かなくてはいけないんだから休日もくそもない。

因みにその始末書の元凶たる男が図々しく俺の部屋にいることに関してはノーコメントだ。…はやく出て行ってほしいけどな。



「くださいよ。」


「さっきあげただろ。」


「いや足りないんで。」


「お前そんなに使わないだろ。」


「あんたを殺すために必要な道具を…」


「おめぇは新年早々何を考えてんだ!!」



元凶こと総悟がさっきからやっていることはあれだ、ガキがよくやるお年玉をくれ…というものだ。
18歳で一応公務員のこいつにお年玉をやる必要があるのかと問われればそこはよくわからないけど…俺的にはあると思っている。

だからついさっきあげた。2万あげた。俺の給料から差し引いた2万だ。
他の奴には一銭もくれてない。総悟にだけ特別にやったんだ。


なのにあの野郎調子に乗ってまだくれと言ってくる。
可愛げのくそもねぇ。



「土方さんー、くださいよー。」


「だからねぇっつってんだろ。」


「そんなこと言わないではやくくれよー。」


「なんだよ、今日はやけにしつこ……」



そこまで言い掛けて、俺はあることを思い出した。
そう言えばこいつのお年玉の要求には確か二つの意味があったんだ。



「……念のために聞いておくが、それはどっちのお年玉だ?」



嫌な予感がする。
普段は金に無頓着のこいつがこんなにしつこいんだ。
絶対あっちのお年玉な気がする。



「そりゃあ、……あっちのお年玉でさぁ。」



にやりと嫌らしい笑みを向けて俺の予想通りの答えを返してきた。
このくそがき…やっぱりあっちの意味のお年玉か…。



「………わかった。」



こればっかりはしょうがねぇ。
付き合ったときから恒例行事みたいにやってきたんだし…今更文句を言う気にもなれない。


持っていた筆を机に置き、隣に座っている総悟の方に向き直る。
未だにしているむかつく表情をどうにかしてほしいが、それは後でいい。
今は恒例行事を終わらせることに専念しよう。



「……………………」



座っている総悟を抱き締めた。
総悟は抵抗してこない。

お互いに顔を向き合い、唇をゆっくりと近づけた。
いつもはあいつからするそれを、今日は俺がやる。

あぁ最悪だ。こんな恥ずかしいこと、二度とやりたくない。




「………………んっ……」



唇を合わせると待っていましたとばかりに総悟が舌を入れてきた。
このガキ……。



しばらく続けた後、ゆっくりと唇の放す。
顔が熱い……きっと今の俺の顔は真っ赤なんだろう。

奴の嫌らしい笑みが腹立たしい。
今すぐにでもこの部屋から出て行ってほしい。



「へへ、恥ずかしそうに顔を真っ赤にして俺を抱き締める土方さんを見るのが元旦の俺の楽しみなんですよ。」


「………お前、悪趣味だな。」


「そりゃどーも。」



お年玉……新年を祝って贈る金品。主に子供や目下の者に送る。

お年玉……俺が総悟に贈る愛。主にキスとか抱きつくとか…。






ぬくぬく、ぬくぬく






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正月ということで小説をUP
しかし文章の問題が……。
短い短い短い短い…おかしいおかしい、すみません。













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