例えば近藤さんが姉さんのストーカーをやめたら、例えば山崎がミントンやカバディを一切しなくなったら、きっと周りのものが驚くだろう。

いや驚くなんてものじゃない。
きっと熱があるんじゃないかとか頭でも打ったのかとかむしろ今から姐さん連れてきますから…みたいな感じでパニックに陥る気がする。


勿論内心そう思っているだけで、実際に言葉や行動に移すことはない。


でも、これは………



「そうごぉぉー」


「……………………」



俺の膝の上で満足そうに寝ている可愛いお方。
普段なら罵言の一つや二つ言ってもいいものだが今回ばかりは何も言えない。


だって……



「俺さぁ、お前のことすっげぇ好きなんだぜ。愛してんだぜ。」


「…………………」


「でもお前って正直俺への愛情表現が薄いんだよなぁ……」


「はぁ。」


「もうちょっと俺に甘えろよ。」



誰これ?なにこれ?
これあれだよ、一応真選組鬼の副長とか呼ばれるあれだよ?
土方十四郎っていう気に入らねぇ野郎だよ?
一応俺の恋人なんて言われちゃってる土方さんだよ?

本来この人は真面目で文句が多くてプライド高くて怒りっぽくて、でもたまに俺だけに見せる甘えがすっげぇ可愛くてそんな土方さんが俺は大好きなわけで…。
っと、まあ話しはずれたけど…甘えると言ってもこんな過度な甘えは今まで一緒に過ごした間で見たことがない。てゆーかこんな甘え、プライドの高いあの人なら死んでもしなさそうだけどね……。


ここまで長々と語って上で俺の言いたいことは、これは俺の知ってる土方さんじゃないってことだ。



「そうごぉ、お前は俺のこと好きだよな?」



これをツンデレで例えるとしたら、普段がツン土方で今がデレ土方ってところだ。
いやデレ土方じゃなくてデレデレ土方だな。

きっぱりと言うがあいつは俺に膝枕されるような奴じゃない。
むしろ俺が膝枕するように頼む方だ。あ、言っちゃった。まあいいや。

とにかく俺に対してこんなデレデレ状態とかないに等しい。


なのに現状は……



「そうご、大好きだぜ。」



これだよ。
なにこれ?誰これ?なにそれ?



「おい無反応ってなんだよ。つーかお前、俺の話し聞いてんのかぁ?」



因みに言うと酔っているわけじゃない。
泥酔状態ならまだ俺でも理解できるし。
平常状態でこれなんだよ。だから俺は困ってんだよ。



(一体何が原因で……)



と思ったところで外から二人の隊士の話し声が聞こえてきた。



「おいあの薬どこ行ったんだよ。」


「あの薬って…副長が調べてたあれか?」


「あぁ。あの飲むとどんな人間もたちまち素直になっちゃうっていう厄介な薬だよ。」


「確かどっかの国の天人が作ったんだよな。」


「そうそう。全く幕府のお偉い方も、そんな薬をうちに預けるなんてどうかしてるよ。」


「本当だよな。」



まるで狙ったように丁度良いタイミングで聞こえてきた会話。
その話を聞いて今の状況がものすごく理解できた。

そうか、この人の様子がおかしいのはなんらかの事故であの薬を飲んでしまったからなのか。



目線を下に戻し、俺の膝に縋りつく土方さんを見る。
あの会話の通りなら…この土方さんは普段なら絶対に見られない素直な土方さんと言うことになる。

つまりこれはこの人が俺にしたかった行為ということなのか。
素直に甘えちゃってます的な感じなのか。



「へぇ………」



そう思えば話は別だ。
そんなに俺にくっつきたいなら望み通りくっついてやりまさぁ。

ただし……可愛らしく抱き合うなんていうレベルじゃなくて、一つになる勢いで…ねぃ。



「………土方さん。」



膝の上にいる土方さんを両手を使ってゆっくりと起こす。

突然の俺の行動に、土方さんが戸惑った様子を見せてきた。
可愛い……。そんな彼を安心させるためにその唇に口づけを落とす。
そうすればほら、嬉しそうに笑ってくれる。



「………そうご……」



普段なら絶対呼ばないような甘ったるい声で俺の名前を呼ぶ。


ここからは俺の好きなようにやらせてもらう。

言っておくが俺は悪くない。
今回は俺をその気にさせたあんたが悪いんだ。



「今日一日は、逃がしはしませんぜ。」



首に巻きつけてあるスカーフを慣れた手つきで解く。
俺の中の欲情がどんどん上がっている、もう自分では止められないほどに。



これから俺がすることは…恋人である俺だけの特権。






はいそこ自重






―――――――――――
ここで話は終わりです。
続きは妄想にお任せするということで……。

エロは駄目なんです(´;ω;`)すみません


悠季様に捧げます!
悠季様のみお持ち帰り可能です。









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