マモル


「狭山さん?すいません、遅れちゃって」
いつも通りデリヘルボーイを呼んで自宅で待っていたサラリーマンの狭山は、インターホンのカメラで見えた男を通した。確かに時間は遅れている、今までなかったのでなんとなく意外だった。
しかし休日で余裕があるので気にしてはいない。
平凡で素朴そうな顔立ちの青年は、親しみやすい言葉で話しかけて来た。
「こんな時間に呼び出してごめんね。お昼食べた?」
「はい。でも食べてたら遅れちゃって、ほんとすみません」
「気にしないでいいよ。何食べたの」
デリヘルボーイのマモルはにこにこ笑っていて、いいなあこの子なんて狭山は思った。さりげなく靴を揃えているのも、意外とやらないデリヘルボーイは多い。もちろんそれは仕事外ではあるのだけれど。
初めて頼んだ子だけど、お気に入りにしてもいいなと思うくらい。
「ラーメン食べて来たんですよ、2杯は多かったかな」
「えっ、2杯?そんなに?」
「普段はもっと食べるんですけどね、狭山さんに呼ばれたので慌てて2杯だけ食べたんです」
思わず狭山はマモルを振り返る。にこにこ笑う中肉中背くらいの体型だが大食いらしい。とてもそうは思えず、驚いた。
「なんかごめんね」
「いえいえ気にしないでください。結局遅れちゃって、あとで料金の一部をお返ししますね」

「じゃあまずフェラして」
狭山は前を寛げてベッドに座る。マモルは一瞬困ったように眉を顰めたが、それには気付かない狭山。
ベッドに乗り上げて、顔を狭山の股間に伏せる。
れろっれろっ
「ふ、んんっ」
まず竿全体を舐めて行く。萎えたペニスを舌で持ち上げて、勃起を促す。
十分よだれで濡らしてから竿にちゅ、ちゅと吸い付く。
デリヘルとして男のペニスの気持ちのいいところは知り尽くしている。頭を擡げはじめるペニスに笑みを刻み、今度はたまをなめあげる。
「あー、気持ちいいね…」
「んむぅ…ぢゅっ……良かったぁ」
たゆんとする玉の感触をマモルは気に入っている。何度も執拗に舐め上げ、はむはむと唇で柔らかく咥えると狭山の身体がぴくんと震える。
マモルが上目遣いで見上げると、気持ち良さそうに目を細める狭山の表情が見える。
「むちゅう…っ、…はぁっ」
「いいね…可愛いよ、あっ」
(狭山さん敏感でいいなあ…)(感じやすいのかな)
フェラの最中はだいたいが表情を変えなかったり、眉根は寄せているが声は出ない人が多い。せっかくフェラするなら気持ち良さそうな反応をしてくれる方が見てても楽しい。
玉にじゅっと吸い付くと、狭山のペニスは一気に勃起する。
「大きいですね…」
「ほんと?…マモルくんのフェラ気持ちいいからかな」
「あはは、嬉しいです」
れろっれろっねちょっ
先走りに濡れている先端を拭うように舌で舐めて、カリ首を小刻みに舐める。
どぷ、どぷっと溢れ続ける先走りが狭山が感じているという証拠だ。それを唇に塗りつけて、一気に狭山のを咥え込む。
「っ!」
「んう、むぅ…っふ、はふっ」
じゅぷっじゅぶっ
口の中まで導いて、唾液を舌で絡ませる。びくびくと口の中で暴れるペニスにさらなる刺激を与える。
うっとりと、いやらしい表情になるマモルは更に喉の奥まで迎え入れるとその鼻先が狭山の陰毛に埋まる。
片手で玉の感触を楽しむように撫でながら、一気に吸い付く。
「あーっ、いいよ…マモル」
狭山のペニスは完璧に勃起した。
勢いよく口からペニスを、唇と舌に引っ掛けながら出すと狭山の手がシーツを掴む。びくっと震える身体にマモルは出ちゃうかなと不安になり、軽く玉を摘む。
「フェラで出ちゃうとこだったよ…」
「お口に出してもよかったのになあ狭山さん」
「じゃあ……次からそうするね」
マモルは話しながらズボンを脱ぎパンツに中に指を差し入れる。そのアナルはもう準備万端に蕩けている。
狭山がお願いしたのは、騎乗位だ。上も脱いで裸になると、足を大きく開いて狭山の腰を跨ぐ。
「あ、なんかお腹ぽっこりしてる?」
「え…?あっ、ホントだ。なんか恥ずかしい」
狭山に言われてはじめて気付く。マモルのお腹は昼に食べたラーメンで微かに張っている。幼児体形のように見えるそれに、気恥ずかしさが生まれる。
狭山は面白そうに白いお腹を撫でる。日の当たらないそこを指でくるくる動かして遊ぶ。
「ん、っ…くすぐ、たいです」
「ごめん、ついね。なんか可愛くて」
そう言いながらすりすり撫でている。ふと、人差し指がマモルのおへそに潜り込むと、マモルは身体を揺らした。
「ひ、あっ」
気持ち良さとくすぐったさが混じったようなそれに、マモルは指を咥えて仰け反る。
くいっくいっ
「あっ、だめ…っさ、やまさん……ッ」
狭山のいたずらはマモルの息が上がる頃に終わる。些細な快感にマモルのは微かに勃起している。それにコンドームをしっかりつける。
「じゃあ、…入れますね」
マモルは息を整えて、アナルに指を添えながらもう片方の手で狭山のペニスをアナルの中に導く。
入り口に先っぽをこすりつけながら中へ導く。
「ん、ふぅ…」
じゅぶ、じゅぶぶぶぶ…っ
「あ、は…んんん、おっきぃよう…!」
硬く張り詰めたペニスの重量感に喘ぎながらも蕩けた色を浮かべる。余韻に浸りながらマモルはゆっくり足を動かして腰を上下させる。
ずぶっぬぷっじゅぶっ
「あ、ぁんっ…おちん、ちんっああッ」
「ナカあったかくて、っ…気持ちいねっ」
「は、あ、あーーっ、んふ、ッ…うれしいです」
狭山のお腹に手をつきながら、前立腺にペニスを押し付ける。気持ちよくなりつつ、気持ちよくさせる。適度に締め付けながら、腰を揺らす。
「あっんっあんっ!俺も、きもちぃ、ですっあぁっ……!」
しっとりと汗が浮かぶ身体は熱くなる。熱の浮いた表情で喘ぐマモルは、更に腰の動きを激しくさせる。もちろん狭山だけでなくマモルの快感も大きくなる。
狭山は自分から腰を振って快感を貪るようなマモルの痴態を目に焼き付けるように見つめた。
「えろいね…っ」
「ん、ああっ…あ、りがと、ございますっあっ、だめっんっあた、てるッ!」
前立腺に押し当ててはぐぐ、と仰け反って感じ入る。ここの快感はいつまで経っても慣れることはない。
マモルのペニスから垂れる先走りは下へと伝い、マモルの身体が跳ねるたびに狭山との腰の間で糸を引く。
ちゃぷっじゅぶっじゅぷっ
「あ、うっあんあんっらめぇ…!ああっあんんんんッ!」
(きもちぃ…)
うっとり蕩けた表情で、顔は赤くなりよだれが垂れる。それをちろ、と舐める様子も狭山の目には扇情的に映った。
しかし狭山はだんだんと物足りなくなる。腰は動いているが、刺激は足りない。もうちょっと激しくしたいな、なんて狭山は思った。
あんあん喘いで、目を瞑って首を振りながら感じまくりなマモルの腰をガッと掴む。
「えっ…あ、あっちょ、と…ああん、だめっまっ、あんっんぅッ」
たまらず腰を激しく突き上げる。ガツンと言う衝撃がマモルの身体を走り、目を見開く。
デタラメな快感がびりびり身体を突き抜け、マモルは制御の利かない身体に腕をがむしゃらに振った。
「まっ、ああっさやま、さんッひいいっ!」
「なにっ…?」
「あんっやあっ!へんっ、になっちゃ、ああぁッ」
がつん、がつんと奥を突き上げるたびにマモルの視界はぶれる。そのうちふとマモルは快感以外のものが奥から込み上げてくるのを感じた。
(やばっ)
「待って…!ああっ、とまっ、てぇ…ッ」
「無理だよ…っ」
「ちが、あっ…でちゃう、からっ」
「いいよ、っ…出して」
「あんんんんッ!だめっ、まじっあぁッ」
マモルが感じたのは吐き気だった。食べたばかりのものが過剰な動きと揺れる視界で込み上げてきたのだ。今までこんなことはなかっただけに、マモルは狭山を止めようとしたが聞く耳も持たない。
その間もひたすら前立腺を擦り上げられ、マモルは口に手を当てながら必死に快感と吐き気に耐える。しかし、それも限界がくる。
「あ、っ…だめっなのにぃ……ーーーーっ!」
「っ、!」
「出るっでる゛!でる!ああぁーーーッッ!」
びくびく、とナカにあるペニスは震えマモルのペニスからは精液が吹き出る。しかし激しい快感にもう一つのものも堪えることは出来なかった。
「さやまさ、うっ…」
「どうしたの?」
「気持ち悪い…はきそ」
「えっ!…もっと早く言わなきゃ!」
(言ったのに…)
マモルはついに決壊した。

「うー…ほんとすみませんん」
マモルはめそめそしながら謝った。狭山にぶっかけるという事態は避けられたが、シーツの上に思い切り吐いたのだ。狭山の引きつった顔が脳裏から離れない。申し訳なさに死にそうになりながらもぺこぺこ頭を下げる。
「いやあ俺も悪かったし…大丈夫?病院とか行く?」
「いえ…料金は全額お返しします…」
マモルはその日1日凹んでいた。



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