どこの小学校にも課外授業というものがある。
勿論俺の通っている小学校にもあって、俺たち3年生は近くの河原へ行くこととなった。そこで絵を描いたり作品を作ったりするらしい。
幽は学年が違うため行き先が別となり、一人となった俺は自然とあの変態解剖メガネと行動を共にすることになる。
着いた途端ばらばらになるクラスメイト達に先生も困っているが、俺が集団の中にいてもどうにもならない。
「今日は他の学校のお友達も来ているから、あんまり騒ぎすぎちゃだめよーっ」
先生の急いだ説明を聞いたのち、すぐに他の奴らが集まるような川岸やら花があるところやらから離れた。
「し、静雄くん、待ってよ!」
「うるせえな、嫌ならついてくんな」
「それこそ嫌だよ」
こんな怪力の俺に自ら着いてくるこいつは相当の変人だと思う、それに少しばかり安心している俺の言えたことじゃないが。
目の前の高い草をかき分けて前へ泳ぐように進んだ。俺より少し小さいか変わらないか位の丈の草の海は、初夏の匂いに包まれていて虫なども気にならない。まとわりつく草もむしろ心地いいくらいだった。
と、突然、何かぞくりと嫌な予感、というか嫌な気配が脳をかすめた。
何だこれ、何かよくわかんねえけど、変な感じがしやがる。
突然足をとめた俺に、後から慌ててついてきた新羅がどうしたのと聞いてくるが、俺にもわからないのだから仕方がない。答えようがないのだ。
だがここで止まっていたって何も変わらない。仕方なしに再び前へ腕と足を進めた。
「ひゃ、」
「おわっ、」
ふと体に衝撃をうけて少しよろける。人にぶつかったらしい、目の前の小柄な黒髪の奴は転んだらしく尻もちをついていた。
「いたぁ…」
「静雄くん、あとそこの君も、大丈夫!?」
「あ、わ、わりい」
新羅のあせった声を聞いてさすがに悪いと思い手を差し伸べる、その手をとった相手の手は俺より一回り小さくて色白で、まるで女のようだった。そのまま軽くひっぱると見た目通り信じられない軽さ、俺が怪力なのもあるけどそれでもこの軽さは異常だと思う。
「大丈夫か?」
「うん」
俯いていた顔があげられて、う、わ、
「ありがとう」
微笑んだそいつの顔は俺がいままで見たどんな男よりも、もしかしたら女の中でも一番綺麗で、赤い瞳が細められたのを見ると何故か顔が熱くなった。
「君、来神小学校の子?」
「ううん、隣の小学校」
後ろから新羅が聞いてくる声もぼんやりと霧がかかっていてよくわからない。なのにそいつの声はやけに透き通っていてはっきりと聞こえたのだ。
「あ、先生が呼んでる、じゃあね、岸谷新羅くん平和島静雄くん」
「わかった、じゃあねー」
「お、おう」
そのまま駆けてゆくその後ろ姿をぼんやりと眺めていると横から新羅が顔を出してきて、
「やけに綺麗な子だったねー」
「……」
「あれ、普段なら幽の方がっていうのに。静雄くんもやっぱり綺麗だと思ったんだ」
「…るせえ」
「ほんと何か妙に綺麗だったね、顔が整ってたっていうかちょちょちょ静雄くん手首痛い掴まないでおれちゃう折れちゃうからぁ!」

「…ところで、」
俺の腕から解放された手首をさすっている新羅が、不思議そうにぽつりとつぶやいた。
「何で僕らの名前、知ってたんだろうね?」
「……あ、」
確かに。

理由は奴の驚異的な情報収集能力によるものだったのだが、それを知るのはまだ先の話。


100410
シズイザで小学生出会い話っていったらこういうのしか出てきませんでした…すみません
なんかリクエストと違うものになってしまいました…
もっとショタでいちゃいちゃなの書ければよかったのですができませんでした、こんなものですみませんっ!
これじゃ嫌だ!といお思いになられたらすぐ書きなおしますので;;
リクエストありがとうございました!

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