静ちゃんと成り行きで告白しあってから、約一週間がたった。
「静雄ー、終わったよ」
「!!」
部屋から出て行った新羅の声と、静ちゃんが急いでこちらへ向かってくる音が響く。足音うるさいなあ、と思いつつも嬉しいのを隠せずにいた。
「臨也!」
「静ちゃん」
シンプルな室内のベッドに身を横たわせ、点滴をうける俺の姿はさながら出産したての女のようで我ながらおかしい。だったら慌てて駆けつける静ちゃんは旦那さんだ、あれ俺こんなこと言うキャラだったっけ。
ようやく薬の効果が切れて男に戻ることのできた俺だったが、まだ体調が安定しないらしく栄養面でも問題があるようで、新羅のところで手当を受けていたのだ。
「臨也、大丈夫か」
「うーん、平気」
正直なところ大分だるいが心配をかけたくないので気丈にふるまう、が静ちゃんにはお見通しだったようで頭を撫でつけられた。あったかい。
ベッドの前に座った静ちゃんを見上げる形となって首がひねられる。
「どれくらいで良くなるっつってた?」
「新羅は確か一週間くらいで体調もよくなるって言ってた」
その時、一瞬ため息をつくような表情がされたのは気のせいじゃない。
…やっぱり女のままの方がよかったのだろうか。
と、突然額にちゅ、と口付けをされて、え、ちょ、うわ。
「男だろうが女だろうが好きだからな」
ちょっと静ちゃん君いつからそんな静雄もといキザ雄になったの。顔が真っ赤に染まるのを見届けた後、静ちゃんは部屋を出て行った。
正直不安でたまらなかった。
男になったら受け入れてもらえないんじゃないかって、女の方がいいんじゃないかって。でも、安心した。
そっと体を抱きしめる、点滴をさされているせいで腕が動かしづらいが気にならなかった。
女になって苦労してばっかりだったけれど、まあ悪くもなかったと思う。新羅はやっぱり殴りたいけど。
確かに男のままじゃまさか静ちゃんが好きだとは気が付けなかったし、愛してばかりで本当に愛されたことのなかった俺を、愛してくれる人を見つけられた。それだけがただ嬉しい。

「静ちゃん、」
好き。

愛してくれて ありがとう。



end
100409


あとがき
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