※キャラ崩壊注意!


静ちゃんはしぶとい。とにかくなんというか、しぶとい。
刺しても死なないしヤンキーけしかけても死なないし、不死身なんじゃと思う。
それだけで私に関係がないのなら別に構わないのだけれど、残念ながら奴が生きている限り私は池袋をうろつけもしないのだ。仕事の関係で池袋に行くことは少なくないので、見つかる度殺されかけるのは結構痛かったりする。
そこで考えた、何とかして弱味を握ればよいのではないか。
そんなとき見つけたのがこれ。催眠術の本。

「おいあれ、折原臨美と...」
「平和島、静雄、が...っ」
「手、繋いでる ぞ...?」
周りの視線が痛い。言っておくけれど私だって好きでつないでるわけじゃないんだ横の怪力男が離さないだけなんだ。
「おい、ハニー」
「...臨美でお願いします」
「ハニーの癖に照れてんじゃねーよ」
そう言って頬をつんとつつかれる。ちょっと痛い。
私が静ちゃんにかけたのは、起きて最初に見た奴を恋人認識し、ハニー呼びするというものだった。
池袋で会った静ちゃんを戦闘しつつ路地裏に導いて、ナイフをかざして懐に入り込む。一瞬驚いて隙ができた静ちゃんに催眠術をかけるのなんて簡単だった。
かけた後意識を失った静ちゃんを置いて、その辺のおっさんを連れてきておっさんには悪いけどそいつを静ちゃんにハニー呼びさせるつもりだ。そうすれば証拠写真でも撮ってガチホモ呼ばわりもできるし十分脅しにもなる。
ただ、ひとつ誤算があった。
静ちゃんは他の人間より体が丈夫だった、ので、目覚めるのも早かったのだ。
意識失ってなかったんじゃないのって位早くて、いい奴を探そうとした私の腕ががしりと捕まれる。反射的に振り向いてばっちり目をあわせてしまった自分を馬鹿だと罵りたい。
「...静ちゃ」
「ハニー」
「!!!!!???」
そして今、逃げようとした私の手を無理やり繋いで池袋の大通りを歩く静ちゃん。
こうなってしまえばもう証拠写真を撮るどころじゃない、むしろ誰も撮るな頼むから。
あの犬猿の仲の私たちが仲良くお手手を繋いで歩いているのだ、端から見れば相当見物だろう、でも頭ではわかっていても本能的にこの屈辱には耐えられない、あっちょっ写真撮ってんじゃねえよ糞野郎絶対住所特定してやっからな!
「静ちゃん、こっち通ろう!」
「?あぁ」
視線にキレて路地裏へ入る。それでも見ようとする輩もいたが一睨みすればすぐに逃げ出した。
すぐ後ろを何事もなく歩く静ちゃんが怖い。普段怒鳴られてばっかりだから違和感ありありだ。
これからどうしよう、何も考えずに来てしまっているから目的地なんて考えていない。
と、突然繋いでいた手を上に上げられ横の壁に押し付けられる。
「、ったぁ!」
そのまま覆い被さられて、えっちょっと待って顔近い近いちか
「ストップぅうう!!!」
「あぁ?」
空いた片手で敵わないのわかってるけど静ちゃんの口元を覆った、危ない今手動かさなかったら絶対キスされてた。
「んだよ」
「んだよじゃないよ何なのいきなりキスするとか!!」
「路地裏につれてきたってことはそういうことじゃねーのか?」
「違うわボケ!!」
そうだった、今この静ちゃんの中では私は恋人なんだ。確かに恋人だったらそういうこともしなくはない、けども勘弁してくださいまじで。
静ちゃんはしばらくむすっとした顔をしていた(断じてかわいいとか思っていない)が、すぐにスッキリしたようにあぁ、と呟いた。
「夜まで待てってことだな」
「はぁ!?」
なんだそれぇぇえぇ!
既に混乱しているせいでしゃべり方が完全に素に戻っているが関係ない。
夜、といった今静ちゃんは。ということは夜まで一緒にいるつもりなのか?この催眠術が切れるのはいつですか?夜一緒ということはキスは勿論それ以上もしますよね?
されてたまるか!!
内心そう叫んで直ぐ様逃げ出そうとする。が、
「外でヤるのが嫌だからとか、かわいいなハニーは」
耳元で甘く囁かれた響きに思わず体が震えてしまった。そのまま耳朶まで噛まれて、あのごめんやめてえぇ!
逃げ出したいのに体が動かない。このキャラの崩れすぎた静ちゃんは、どうやらいつもの以上に扱い辛いようだ。
「ハニー」
ぴくん、と体が跳ねる。耳に直接落とされた無駄に良い声が恨めしい。
「...だーりん」
もう自棄になって呟くようにそれを口に出せば、満足気に笑った静ちゃんに抱き締められた。
お願い早く解けてください私の身がもちません。
無神論者である私が、初めて神に祈った瞬間だった。



100406
なんかもうあの、すみません...(土下座
頑張ってギャグにしようとしたのですが、できてるかは謎です;
催眠術に関しての知識は0ですので矛盾たっぷりだと思われますがスルー願いますm(_ _)m
十香さま。二つもリクくださりありがとうございます!もうひとつのはしばらく先になると思われますが、お見捨てにならないでください...;こんなものですみません!
リクエストありがとうございました!



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