「人んちで散々いちゃつくのやめてくれないかなお陰で電話が終わっても部屋に入れなくて困り者だったよ」
新羅に嫌味をたっぷり言われたのち、俺は一人で池袋まで帰った。静ちゃんは新羅から何か話があるようで、先に帰っててくれと髪をぐしゃりかき混ぜられたのだ。
新宿に帰って部屋に入るとちょうど帰宅しようとした波江とかち合う。今日は随分早いんだねと皮肉を言えば、
「あなたこそ、よかったわね」
にやりという言葉が似合いそうな笑みを浮かべて横を通られた。あいつ、今日何があったか絶対知ってやがる、誰だ新羅かぶっ殺す。
仕事椅子に座ってパソコンわ立ち上げる。仕事はまだまだ残っているのだ。
起動する音を聞きながらぼんやりと考えてしまうのは静ちゃんのことで、自覚した途端急に顔が熱くなった。これじゃあの闇医者運び屋バカップルと変わりないじゃないか。
ていうか今日、よく考えれば物凄いことをしてるし俺ら。ああもう恥ずかしい。まぎらわせようと椅子をくるくると回転させたところ気持ち悪くなっただけだったが。
静ちゃん、すき。
パソコンはとっくに立ち上がっていた。


「何を言われるのかわかってるような顔だね」
にこやかで読みきれない表情をしている目の前の闇医者を殴りたい衝動にかられるが抑えた。
臨也が帰ったあと部屋に残された俺と新羅は、どちらともなく黙っていて、ようやく言ったら言葉はそれだったのだが。
座り直した表紙にぎし、とソファーが音をたてた。
「臨也のことだろ」
「そうそう、よくわかったね。まぁ伊達に腐れ縁やってないしわかると思ってたけど」
「はやく言え」
わざとらしく遠回しな言い方をする奴にいらつく。気は長い方じゃないのでさっさと言ってもらいたい。
仕方ないなぁ、なんて言った新羅は苦笑を浮かべて諦めたように首を振ると、しっかりとこっちを見てきた。
「単刀直入に言うね。戻るまで臨也は抱かないで」
直入すぎるだろ。
「今の臨也はホルモンのバランスが不安定だ。この状態で妙な興奮状態になったり生理が来てるのかはわからないけど下手やって妊娠でもしたら...考えたくないけど一生戻らない可能性だって低くはないんだ」
「......」
「あと、戻ってからしばらく――、一週間くらいかな、その間もだいぶ不安定だからやめて」
「...わかった」
あっさりと了承した俺に奴は珍しそうな顔をしてくる。
「驚きだね、てっきりもたねーよとか言い出しそうなのに」
「...るせぇ」
『もたねーよ』?もたねえに決まってんだろ。
好きな奴がいてそいつも俺のことが好きで、そんな状況下でやましいことを考えない方がおかしい、現に何回も想像してしまっているし耐えきれずキスもした。でも、
「あいつが無理だっつうんなら、やるわけにはいかねーだろ」
大事にしたいのだ。
変な風に傷つけたくない。
君は本当に変なところ紳士だよね、と笑った闇医者に殺意を覚えた。
「ま、落ち着いたら散々ヤッていいんだろ?」
「言い方に品がないよ静雄...まぁ嫌われない程度にしなよ―」
しばらくして帰ってきたセルティに抱きつく新羅を見て、早くあいつに会いてぇななどと思ってしまった。


100405
途中で視点が変わりましたすみません;

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -