「いーざー姉!!いるんだろ開けてよ―!!」
「...寝..?」
「えーないないなーいっ!もうお昼だしー」
警報警報、私自身に警報、只今弟共が来襲中。
どんどんと扉が開く音がする、何のためのインターホンだと言いたいが生憎そんな余裕はない。普通入れたくない奴は入り口でシャットアウトされる仕組みのこのマンションだが、おそらく波江あたりから鍵を受け取ったのだろう、よし波江減給。
鍵がかけてあるので大丈夫だろうと仕事に戻ることにした。パソコンの画面に目を移す。
途端、急に叩く音が途切れた。
「...?」
諦めて帰ったのだろうか、いやでもそんなヤワな精神じゃな「カチャ」、かっ た
「やっほーイザ姉久しぶりーっ!!っていってもチャットで毎日会ってるけどね!!」
「直...久」
「あーたしかに直接会うのはひっさしぶりだね!!!」
ドアがばーんと開いて外から賑やかすぎる双子がコンニチハ、扉は仕事部屋の目の前にあるのでばっちりと目があった。
「...とりあえずマイルにクルリ...ドアの鍵はどうした」
「そんなの波江さん経由で受け取ったに決まってんじゃん!!」
「あいつクビにしたろか......」
そうは言ってもやっぱりいないと不便だからクビになんかできないのが現状だ。多分あいつもそれをわかっててこんなことをしてる筈、糞、あのブラコンめ。
「うわ部屋ひろーっいいなぁイザ姉!パソコンもでっかいし、」
「ちょちょちょ、勝手に触るなお前ら!!」
マイルの手がパソコンに触れかけて、慌ててしっしと離れさせる、いくら肉親とはいえ他人に簡単に仕事道具を触らすわけにはいかない。
「で、何しに来た」
さっさとかえって欲しいので目的を聞くことにする。こいつらだってそこまで暇なわけじゃあないだろうし、何か用事があって来た筈だ。
「あー、そうだった、ねぇイザ姉!」
「共...」
「一緒にご飯食べよっ!」

「いっただっきまーす」
「頂」
どうしてこうなった。
弟たちにせがまれ結局私は一人夕食の準備をする羽目になり、急に増えた人数のせいで我が家の冷蔵庫は空っぽだ。畜生。
とりあえず有り合わせの材料でできるものと言って真っ先に思い付いたのが鍋だったので、作ったのは寄せ鍋のようなものとその他煮物とか。
「んー、んまっ!さすがイザ姉性格以外は完璧だねっ」
「凄」
「そりゃどうも...」
正直こんなに作ったのは久しぶりだったので腕がだるい、そもそももともと少食な上食事は大抵栄養食品で補ってしまうためあまり作らないのだ。一応一通り作れるけども。
「ほんと何しにきたんだお前ら...」
箸で肉と野菜を掴み器によそうと、二人は自分の器を差し出してきた。入れろってことか。
とりあえず出来るだけ肉と野菜の量を均等にして二人に差し出すと、顔を見合わせて笑ってきた。
「一人でご飯じゃ寂しいと思って!」
「は?」
なんだそりゃ。
「一人ご飯は寂しいと思ったから、俺らが一緒に食べに来てやったわけ―!」
「...楽?」
たしかに最近誰かと一緒に食べたことはなかったかもしれない、波江はすぐに帰ってしまうし友人なんかいないし取り巻きとは一緒にご飯なんか食べないし。
とりあえず無駄にでかい机にこんなに皿が並べられたのは久しぶりだろう。ちょっといつもより美味しい気もするし。
そこは感謝すべきなのかな。
「........どうも」
ぽつりと呟くように言った筈なのに二人にはしっかり聞こえたらしい、マイルはにかっとクルリはやんわりと笑っていた。
誰かと食事っていうのも、たまには悪くはない、かもしれない。

「さぁさぁじゃあその感謝の気持ちは後で体で払っていただきますのでーっ」
「夜...」
「帰れ」




リクエスト「性転換折原家」
一人鍋じゃない臨也さんを書きたくて......ラッコ様、こ、こんな感じでよかったでしょうか;
書いててすごい(私だけ)楽しかったです笑
素敵リクありがとうございました!


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