好きだ、って
なにそれ

「え」
「なにそ、え」
「!!!???」
ぼかん、自分でもそう音がしたのがわかる、多分っていうか絶対今俺の顔真っ赤。
告白されたことなんて数えきれない位あった癖に、告白されて顔が熱くなるのは初めてだった。
頭がぐるんぐるんしておかしくなりそう、折原臨也は何処に行ってしまったのだと思うほどの動揺っぷりだ。
「......大丈夫か」
ぶんぶんと首を横に振る、大丈夫なんかじゃない、でもやだやだ静ちゃんに心配されるなんてらしくない、むしろ本当静ちゃんこそ頭大丈夫なのだって俺は折原臨也で静ちゃんとは犬猿の仲でそもそも男で静ちゃんホモだったのいやそんなことはない筈
ていうか
さっき俺も
好きみたいじゃん、とか
言ってなかったっけ
何かひんやりとしたものが髪を退けて額に押し当てられる、静ちゃんの手の甲、火照った皮膚との温度差が悔しい、
「ぁ......」
「......悪かったな」
なにそれ、
何で謝んの
何でそんな泣きそうな顔してんの
きっと今の俺は静ちゃんを傷つけてるのに、何で自分が傷つけたみたいに悲しそうなの
傷つけてるのはこっちなのに
やめてよ
悲しくなる
静ちゃんは今踵を返してもと来た道を戻ろうとしている、きっこ今ここでさよならしたら静ちゃんは二度と俺の前に姿を表さない、そんなの嫌だった。
大きい筈の背中が遠ざかっていくのをただ見ているだけの俺なんて俺じゃない、震える唇を無理矢理動かして言葉を紡ぐ。
聞こえる距離かはわからないけれど、足が震えて動かないんだから仕方がない。できる限り出る大きな声で、止めたい
「、ま」
行かないで。
「待って」
泣きたくなるから。
「お願い」
おねがい。
目から暖かいものが零れた、涙、何で泣いてるんだ俺
何で?
怖いんだ
静ちゃんがそんな顔してるの嫌だよこっちまで悲しくなるんだ
もう二度と会えないとか考えただけで叫びたくなる程怖くて、
すぐそこにいてよ。
逃げないで
手を伸ばせばいつだって掴める距離に いて
俯くと重力にしたがってぼろぼろと滴が落ちる。アスファルトに染みができた。
ふと影が重なって頭を上げれば視界が滲んで、表情はよくわからないけれど、静ちゃん。
「や、」
そこにいる。来てくれた、目の前に。逃げられないように両手で片腕を掴んだ。
「...臨也」
「...て」
「は?」
「ここにいてっ...」
情けないけれど涙でぐしゃぐしゃな目を向ける、しっかりと視線が絡み合った。
周りからいくら人がいなくなったって平気だった、何を言われたって大して傷つかなかった、なのに
静ちゃんはいなくなっちゃ嫌。静ちゃんに今嫌いって言われたら泣きそう。
別格なんだ、

――それって特別ってことなんじゃないの?
―――――好きなんでしょ?
静ちゃんが。

うん、
「すき」

だから、
行かないで。


100330


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