※ちょっといかがわしいかも


臨也は寝相が悪い。
考えてみれば簡単なことで、奴のベッドは大の男が二人並んでねても窮屈ではない広さで、それだけの広さがあれば一人の時はさぞかしよく動き回れるだろう。寝相が悪くてベッドから転がり落ちた経験など皆無な気がする。
これだけ広く寝心地も良いのだからそれなりの値段なんだろうな、と熱の冷めた頭で考えた。
そんなベッドに一糸まとわぬ姿で男が二人寝ころんでいるのは結構異様な光景だろう。しかもところどころに白い跡がこびりついていて明らかに情事のあとを思わせる風なのだから尚更だ。
上半身だけ身を起こし隣に目を向けると奴はうつ伏せに寝転がったまま携帯をいじっていて、暗がりにぼうと浮かび上がる端正な顔はどこか恐ろしさを帯びていた。
「携帯いじってんじゃねーよ」
怖いから、なんて情けなくて言えるわけがない。しかしこれだけでは明らかに語弊がある、案の定臨也は携帯を取り上げられ一瞬驚いたように目を見開いたがすぐににやりといつもの笑みに戻った。
「なーに静ちゃん、やきもち?」
「なわけねえだろ」
ふーん。まあいいけど。
臨也はそう呟いて興味をなくしたのか俺とは反対方向を向いて、情事で疲れたらしい体を眠りに落とそうとしだした。勿論、俺が許すわけがないということを踏まえたうえで。
奴の思い通りになるのは大変癪に障るが本能には逆らえない。むき出しの肩をつかみ無理やり仰向けにさせた。ここで演技でいいからぱちくり瞬きでもすればまだ可愛げのあるものの、ノミ蟲はノミ蟲なのでいやらしげな笑みを浮かべたままであった。気分悪ぃ。
勢いに任せて薄い唇に自分のを重ねる。ちらりと目を開けてみれば臨也はあろうことか目を開けていて、ばちりと視線が絡まった。キスしてる最中の相手の顔とか、ふつう見るもんじゃねえだろう悪趣味野郎。
悔しいのでぴったりと閉じられた唇を無理やり舌でこじ開け口内を犯す。ノミ蟲からは鼻から抜けたような声が出ていて、ざまあみろと嘲笑ってやった。
暫くの間ぴちゃぴちゃと水音を立てながら舌同士を絡ませる。こうして奴がノって来る瞬間が一番嫌いだ、いまの俺のこの行動も奴にとっては想定内の出来事なのだろう。
唇を離せば息苦しそうに眉をひそめた臨也が視界を占める。半開きの口からは銀色の糸がたれていてそれは最高に扇情的であった。
「静ちゃんてば野獣なんだから」
どこかの映画に美女と野獣という話があるが、例え俺が野獣だとしても美女の相手である王子に戻ることはない。そもそもこいつが美女とかない、顔はまぁ悪くはないが性格に難がありすぎる。
しかしながら野獣が美女を好いてゆくように俺がこいつに惹かれつつあるのも事実なのだ。美女役の男は野獣などに全く興味がないだけで。
何故セックスの時だけこいつは俺に興味をなくすのか、聞いてみたことがある。
「だって、スるときの静ちゃんって思い通りなんだもん」
そう言われたあとは手ひどく抱いたが、それも想定内だったらしくつまらない、と一蹴されてしまった。
俺がこいつの手のひらの上で遊ばれる存在となり下がってしまうのでセックスは嫌いだが、前にも言ったように本能には打ち勝てないので点々と赤い華の咲いた肌に手を滑らせた。


100318
美女と野獣の内容は曖昧です
ピロートーク話ばかりですみません…
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