「新羅...」
「あっ静雄やっと来たね、エレベーター故障中だったんだって?階段お疲れ様。......うわぁこれまた酷いな、少しは手加減したらどうだい?」
「んなこたどーでもいい...さっきまでノミ蟲来てただろ」
「!...え?来てないよ」
「嘘ついてんじゃねえ。....ありゃどういうことだ?」
「なにがさ」
「その...アイツには...女装の趣味があんのか?」
「...何言ってんのさ静雄。だからさっきまで誰もいなかったってば」
「じゃあアレは誰だ。」
「アレ?何のことかなぁ、知らないよ。ほかの部屋の子じゃない?」
「......やけにノミ蟲に似てたんだが」
「他人の空似って知ってる?」
「......」
「とにかく、今から治療するからほら、運んだ運んだ」



無事にシズちゃんから逃げ切った俺は、家に帰って扉を閉めた途端へたりこんだ。息も絶え絶えで心臓がえらく煩い。
これからどうしようか。とりあえず服は新羅たちが送ってくれるからいいとして、問題は仕事だ。基本的にはメールやチャットで商売や情報交換をするが、女となってしまった今電話面会はもといさえもできない。
どうしようか。
「臨也?」
「...波江」
最悪のタイミングでやって来た、というかリビングから出てきたのは助手兼秘書のブラコン女。朝の様子から俺が女となっていることには気が付いているだろうが、目があったままこちらが逸らさないでおくと、目をぱちくりさせていた。
「......臨也、」
「......あぁ」
「…何その服」
「いや違うから」
誤解を説くために一からすべて包み隠さず話す。要するに新羅の薬によって女になっただけなのだが、それだけで信じてもらえる程俺に信用はないだろう。新羅についても語っておく必要があった。
最後まで話し終わると波江は納得してくれたようで、(とはいっても信じてくれたのは現状からそう判断するしかなかったからのようだ)仕事の話を切り出してきた。
「取引とかはどうするのよ。直接会う気?」
「...ん―、髪短くしてさらし巻いてコート着たら誤魔化せないかな?」
「無理ね。声どうするのよ、あと身長も」
しばらく話した結果ひとまず直接会うことは極力避け、信用のあるお得意さんのみ直接の取引をするということに決めた。そしてその際は「折原臨也の妹」である「甘楽」として、ふるまうことも。
明日になったら奇跡的に一日で戻っているだとか、そういう展開を期待しつつ、俺は少したまってしまった仕事をかたし始めた。


100314
前半は新羅と静雄です
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