※ちょっと如何わしいです
砂吐きも覚悟願います。



ごつごつとした男らしい角ばった手が腹、胸、首もとを伝って頬にたどりつく。ぺたりとつけられた冷たさに体が震えた。
「今日はやけにべたべた触ってくるね」
「うるせ」
少し汗ばんだ手のひらが上半身をまさぐっていて、尖りをくりくりと弄ばれれば不快感と共に 微かな快感が背筋を走る。んぅ、と体を捩ろうとするもお馴染みの怪力で押さえつけられ諦めざるをえなくなった。
触られるのはいつものこととしても、こんなべたべたとした触り方は初めてだった。まるで何かを確かめるように押し付けられる手のひらはついに下半身近くまで到達し、流石に不味いと本格的に抵抗をし始める。
「ちょ、静ちゃんタンマタンマ」
改めて声をあらげると静ちゃんは一瞬びくりとして手の動きをとめてくれた。ほぅと息をつく。
「なんだよ嫌なのかよ」
「いや別に嫌なわけではないけどその触り方親父みたいだよ」
「だまれ」
「っちょぉぉ、静ちゃんまじタンマやーめーてーって!」
どうやら地雷を踏んでしまったらしく怒らせてしまったようで、再び動き出した右手を慌てて押さえつける、効果はないに決まっているが。
「だからっその触り方やめてっつってんのベタベタベタベタ人の体触ってさぁ何なの!?」
えいもうやけくそだと怒鳴るように叫んでみると、意外にもその動きは止まった。
静ちゃんは何故かむっつりと黙ってしまっていて、ちょっと怖いかも。
「...ぇさ」
「え?何?」
「お前さ、足音しねぇんだよ」「は?」
「あと気配も」
何それ。今のはなしとどう関係あんの。
怪訝かつ驚いた表情の俺の心中を悟ったのか、静ちゃんは少し落ち着いた声で言葉を紡いだ。
「だからなんか触ってねーと」
消えてしまいそうで。

俺が足音も気配もない特性をもつようになったのは職業柄仕方のないことで、それでもそもそもの発端はきっと静ちゃんなんだと思う。学生時代の時から隠れたり逃げたりしていたし。
気配がない位で消えるわけないでしょばかじゃないの静ちゃん。俺が君を置いていくようなことなんてしないのを君は知っている筈だ。
「本当ばかじゃないの」
首に手を回してぎゅうと抱きついてみた。俺の背中にも手がまわされ抱き合う形となる。ちょっと恥ずかしい。
しかしばかな子ほどかわいいものだったりするので、この単細胞な大馬鹿男を俺はこの上なく愛してしまっているのだ。
「...好きだよ」
呟いた言葉は君に聞こえただろうか。


100314
くそ甘ぇ。
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