「とりあえず君には二つほど質問に答えてもらうよ」
渾身の力をこめて殴った新羅の左頬は未だ腫れていて見るからに痛々しかったがそんなことを気に止める暇もなかった。

今朝、声が女になっていることに気がついた俺があわてて体をまさぐると、それはもう完璧な女の体と化していた。胸が小さいことを除いて。
絶句している俺はもちろん波江でさえ止まっていて、しばらくは静寂の間だった。
一言その時の感想を言わせてもらうと、な ん だ こ れ 
よく考えろ俺脳をフル活用して思い出すんだどうしてこうなった。最近予兆はなかったか?そういえば昨日の夜は体がおかしかったじゃないか。それは昨夜突然おこったものであり、今まではそんなことはなかった不調だっただろう?つまりきっかけは昨日の間に起きているのだ、一体何が、  あ。
「……あ、んの闇医者ッ」
「…え、あ、臨也!?」
波江の声を無視しそこらにあったコートを羽織り外へ駆けだす。もう寝ぐせだとか服装だとか考えている暇はなかった。いや服装は昨日そのまま寝たから普段着だったわけだが。

「いち。何で俺は今女になってるのかな」
「俺が薬を混ぜたから」
試作品の段階だから実験体がいるなぁっと思ってさぁ、珈琲だったら飲んでくれるかなって思って、臨也は紅茶とかに混ぜても味覚が敏感そうだからバレそうだし。......何をほざいているんだこいつは。俺の座っているソファの下に正座させた変態闇医者の顎を蹴り飛ばした。ちなみにその後ろにはセルティがいてよろけた新羅を支えていた。
俺は今何故か、本当に何故か女の体になっている。おそらく新羅に盛られ飲まされたもののせいだろうと限りなく確信に近い質問を投げ掛ければこれまたしれっと答えたものだからイラつきが三倍に跳ね上がった。
「じゃあ次、に。どうして俺なの」
これに少し新羅は答えるのを躊躇したようだったが、早く答えろと催促すれば、臨也が一番綺麗になりそうだったから、だとかなんとか。死ねばいい。
「いや今までね、何人か試してみたんだけどそいつら皆ゴツい奴等ばっかでさ。で、身近で一番綺麗になりそうだったのが君であって、臨也ならもし一生治らなくてもあまり気を病まないような気がしでぶぁっ」
見事に決まった右ストレート。再び新羅はセルティの腕の中へ。
「っざけないでよ。仕事で打ち合わせだってあるのに」
今さらながらちりちりと怒りの炎が沸き上がってきて、 眉を潜め悪態をついた。本当もうどうしてくれる。
「大丈夫、セルティには及ばないけど、すっごい美人さんだから」
「なに、もう一度殴られたいの?」
拳を握りしめると庇うようにセルティが慌ててPDAを差し出してきた。
『本当だぞ、とても可愛い』
そういう問題じゃないんだってば!!!
とうとう口に出してもどうやら上手く伝わらないだろうと判断したので、自然と自分でなんとかするしかないという結論に行き着いてしまった。


100311
中途半端なところで切ってすみませ…;
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