池袋、PM2時頃
「いざやあぁあああぁぁああぁぁぁっ!!てめぇさっさと死ねぇえぇぇぇええ!!!」
「そんなこと言われて死ぬような奴じゃないよ、残念だったね静ちゃん!!」
ナイフが舞う。自販機が舞う。しまいにはコンクリートが飛んでくる。
そんな場所に、しかも主要人物として登場し更に動き回っていれば、怪我をしない筈がないのだ。

「で、ここに角があたったと」
「そうそう、痛いんだよねぇガードレールって」
あの化物め、そう呟く俺は今上半身が裸で下にボトムを履いただけという格好で白いベッドに座っている。キングサイズのベッドは後ろにいる恋人も共にふんわりと俺を包んでくれた。
静ちゃんと俺は仲が悪い。それは、池袋では周知の事実。
会えば喧嘩など日常茶飯事で色々なものを奴は投げてくる。時には直接殴られることもあって、そのおかげで俺の身体にはあざや傷が絶えない。
そのうちのひとつ、背中の肩甲骨の間にできた傷跡をつつと指でなぞった千景は眉をひそめ不機嫌そうな顔をしていた。
「何、どうしたの」と問えば、
「むかつく」
「だから何が」
「臨也の体に傷つけたこと」
「…ああ、静ちゃんか」
千景は静ちゃんが嫌いだ。その原因はどうやら俺らしく、静ちゃんが一応彼の恋人である俺に傷を作る存在だからだろう。
千景は俺の顔というか自分で言うのも恥ずかしいが俺の体性格すべてが好きだという。だからこそここまで静ちゃんに敵対心を抱いているわけだ。
「ちっくしょう、あの男いつか殴る!で、臨也にしたことを倍返ししてやる!」
「流石にそれは無理じゃないかな・・・」
静ちゃんの強さは異常だ。いくら千景がかなり強い方であるからといって、そう簡単に勝てる相手ではない。それを知った上でもそう言ってくれるんだから、つくづく俺は愛されているなぁと感じるわけだ。
「いやいやいや、なめんなよ臨也俺の強さを」
「千景が強いのは知ってるけど、静ちゃんには本当関わらない方がいいと思うよ」
あいつってば本当に化物なんだから、とぶつぶつ言っていると後ろから急に抱きすくめられて体がびくりと跳ねる。
「っうわ、千景、どうしたの?」
「………」
「ねえ、だからどうしたのって」
「臨也のばか」
「はぁ?」
なんなんだ突然。首筋に埋まる茶髪がくすぐったい。
突然吐かれた暴言に驚きつつ後ろを軽く振り返れば視界が千景の髪で埋まる。少し後ろにうなじも見えてどきりと心臓が跳ねた。
「……なに、なんでいきなり」
「恋人傷つけられて、腹たたない男がいるかっての」
そして強く抱きしめられた。
同時に顔が急激に熱を持つのがわかる。
うわ、えええええ……。なんかもう、俺愛されすぎ。
「なのに臨也は別にいいとかさ、何なんだよお前こそツンツンしてて…」
「あのね、千景」
なんとか千景の腕から逃れ、そのままお互いが向き合う形で座る。千景の頬を両手で挟み、額を近づけてしっかり言いつけるように言った。
「俺が静ちゃんと関わるなって言ったのは、千景に怪我してもらいたくないからだって気付かないの?」

暫くしてはっとした千景は俺の名前を叫びながら倒れこんできて、つまり押し倒した押し倒された姿勢となった俺たちは、流れで一夜を過ごしてしまった。


100803
初ロチイザです^^
リクエスト頂いた時驚きましたが、楽しく書かせていただきました!
短くてすみません……;やっぱり他カプは難しいです…
ろっちーを臨也に何て呼ばせるかでとても迷いました。
素敵リクエストありがとうございました!

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