仕事帰り、新宿についた私を迎えたのは、酔っぱらった天敵兼恋人の池袋最強でした。

扉を壊されないようあらかじめ渡してあった合鍵を使ったのか、家の扉は私が開けようとした時には既に開かれていてすんなりと開いてしまう。
なんだろうと思いあたりを見回しながら部屋の奥へと進むと、気がつけばすぐ後ろに影が。そして倒れこむように、私の体にものすごい重みがかかった。
静ちゃんだと、本能で察知した。
「ちょ、静ちゃん、重い!」
「んー…」
「って臭っ!酒臭っ!」
静ちゃんは筋肉もそれなりにあるし割と重めの体重だ、それに大して私は女にしては背は高い方だけど静ちゃんを支えられるほどがっしりしているわけでもない。当然足はぷるぷると震えるし、しかも酒の匂いにもやられてついに静ちゃんもろとも床へと倒れこんでしまう。
思い切り打った背中と後頭部に手をのばしたいのを抑えて、静ちゃんへの呼びかけを続けているとようやく上に乗っていた重みが消えた。
「臨美…」
「なになに静ちゃん、とりあえずすごい酒臭いんだけど何、飲んだの」
「のんだ…」
正直、うとうとと半目になりながら顔を赤く染めている静ちゃんはめちゃくちゃかわいい、しかし酒臭い。どれだけ飲んだのだ、もともと静ちゃんはそこまで酒に弱いわけでもないからきっと相当だろう。
そんな静ちゃんを一旦ソファーへと座らせて、私はキッチンで水を用意した。
「はい」
グラスに入った冷たい水を受け取ると、ゆっくりとそれを飲み始める。喉仏が上下に動いて妙に色っぽい。そんな様子をぼんやりと見つめていたら急に腰回りに違和感が。
「…ひ、ぎゃあ!?」
すべて飲み終えた静ちゃんはグラスを目の前の机におくと、わたしの腰に抱きついていたのだ。腰っていうかもう私の平らに近い胸元に顔をうずめた形になっている。黒い服に埋まる金髪は酷く目立った。
「ちょ、え、静ちゃん!?」
「……臨美」
「何!?」
「臨美…臨美」
何かと思えば、私の名前を小さく呟きながらきつく抱きしめている。
何これ
何これ何これ何これ
急激に顔の熱が上がるのがわかった。
もしかしてこれ、甘えられてる?

「臨美…」
「なぁに静ちゃん」
「お前は、逃げないでくれよな…」
話を聞けば、今日取引先で客に化物と馬鹿にされたらしい。いつもならそんなことはあまり気にしない彼なのだが、今日に限って何故か調子が悪かったのか随分とその言葉は効果的だったようで。
結果、愛しい彼女である私の元へ甘えに来た、と。
何それ恥ずかしい。
でも、なんかすごい嬉しい。
「お前がいなくなったらと思うと、こわいんだよ…」
そう切なげな声で抱きついてくる静ちゃんは、とても平凡な人間にしか見えない。
ゆっくりと頭を撫でてやると、より強く抱きしめられてこれは流石に少し痛いかも。でもそれでも十分幸せだった。だって、
「臨美、」
「ん?」
「好きだ…」
私、めちゃくちゃ愛されてるじゃん。

「大丈夫だよ静ちゃん」
静ちゃんが私を好きなの以上に、私が静ちゃんを好きだから。


100723
\(^o^)/リクお題と全然違う…!!もうすみません……!!
かわいくて仕方がないっていうとどういう行動するのか全く思い浮かばず、考えた挙句こんな感じになってしまいました本当ごめんなさい!!
こんなもので本当に申し訳ありあませんが、素敵リクエストありがとうございました!楽しかったです!
書きなおし希望とかありましたら是非どうぞ、っていうかもうお願いします…orz

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